
今年も残り2週間を切ったが、例年ほど年末の慌ただしさは感じないかもしれない。新型コロナウイルスの流行で忘年会はほぼなくなり、在宅勤務を強化する会社も増えた。冬場に入ってからの感染拡大で、年末年始の移動も限定的となりそうだ。
JTBが12月8日に発表した「年末年始の旅行に関する意識調査」によると、帰省を含めて1泊以上の旅行に行きたいと考えている人は14.8%となり、前年から5.2ポイント減った。それも「自宅から近いところに車で移動し、近しい家族と少人数で1泊2日が主流」(JTB)。調査を実施したのは11月17~19日で、ちょうど日本医師会の中川俊男会長らが「コロナを甘く見ないでください」と訴えていたころだ。
その時点から比べ、「コロナ第3波」はさらに大きくなっている。1日の感染者数は12月12日に初めて3000人超となり、同17日には東京都だけで800人を上回った。重症患者の病床使用率は大阪府や東京都で50%を超えており、死者数は1日50人以上に驚かなくなった。こうした兆候を受けて、政府はようやく重たかった腰を持ち上げた。
14日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、「Go Toトラベル」を全国一斉に一時停止することを決めた。菅義偉首相は11日に出演したインターネット番組で全面停止を否定していたが、その後「自ら判断した」のだという。政府はGo Toをこれまで「感染防止と経済再生の両輪」の象徴としてきた。ただ、感染者の急増で内閣支持率が急落したことで、スタンスの転換を迫られたとみられる。
これにより、年末年始の「小需要」を期待していた全国のホテルや旅館からは「キャンセルが相次いでいる」といった悲鳴が聞こえる。都内に住む50代の会社員女性は「年末年始は京都の実家に帰省しようと考えていたが、取りやめた」と話す。東海道新幹線の指定席予約は16日時点で前年比70%減。9日時点で発表していた同66%減から悪化し、予約客は今後、さらに減少する可能性もある。
近場はどうか。例えば、人が集まる神社やお寺はコロナ対策に追われている。正月三が日だけで約300万人以上の初詣客が訪れる成田山新勝寺(千葉県成田市)は12月31日~1月3日までの入場規制を予定。太宰府天満宮(福岡県太宰府市)は初詣の期間を3月末までに延ばす。尾張多賀神社(愛知県常滑市)は手水舎を自動水栓に変え、触れずに手を清められるようにした。
いかにして「密」を避けつつ、有意義に過ごすかを問われる年末年始。恒例の行事もままならない中、皆さんはどう過ごしますか。
「なんでそんなことを聞くの?」と思う方もいるかもしれませんが、人の動きは、経済の動き。それぞれの行動が新たなビジネスのヒントになるかもしれません。ぜひ、皆さんのご意見をお寄せください。
【議論のテーマ】
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、年末年始、皆さんはどう過ごしますか?
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