沿線価値の向上はすでに起きていると見ていますか。

大塚氏:今のところはないと思います。ですが、今後、需要を喚起する要因にはなっていくと思います。まだ座席保証サービスを導入していない路線の利用者からは、「ぜひほしい」という声も聞きます。

利用者側のメリットも大きい。

大塚氏:選択肢が増えることはメリットになると思います。

 「お金を上乗せすれば座れる」ということに抵抗がある人もいるかもしれませんが、体調が悪いときや妊娠しているときも確実に座れる列車があるというのは、利用者にとっても悪いことではありません。一般の列車の優先座席も定着していますが、ぎゅうぎゅう詰めの中ではなかなか利用しづらい。

上乗せでお金を払った人だけに快適な移動を提供するのではなく、その分を一般の車両の増発に回すことで混雑対策を行うべきなのではないかという意見もあります。

大塚氏:一般の列車を増発すれば混雑を緩和するという効果は、あるとは思います。でも微々たるもの。それに鉄道会社からしてみれば、乗客は増えませんが、コストがかかる。

 対して、有料着席サービスの列車では事業者は追加で収入が得られます。従来よりも一般の列車を減らして、有料着席サービスを導入するというのは私も反対ですが、一般の列車を使う利用客に迷惑をかけない範囲であれば、問題はないのではないでしょうか。

利用者の「仕方ない」という気持ちで成り立っている

<span class="fontBold">細川幸一・日本女子大学教授</span><br> 独立行政法人国民生活センター調査室長補佐、米ワイオミング州立大学ロースクール客員研究員などを経て、現職。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行などを歴任。立教大学、お茶の水女子大学で兼任講師。著書に『大学生が知っておきたい 消費生活と法律』など。
細川幸一・日本女子大学教授
独立行政法人国民生活センター調査室長補佐、米ワイオミング州立大学ロースクール客員研究員などを経て、現職。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行などを歴任。立教大学、お茶の水女子大学で兼任講師。著書に『大学生が知っておきたい 消費生活と法律』など。

都内を中心に導入が相次いでいる有料着席サービスをどう見ていますか。

細川幸一・日本女子大学教授(以下、細川氏):サービスが人気ということは、それだけ利用客のニーズに応えているわけなので、そこは評価したいと思います。けれど、手放しでは喜べない部分もある。

それはどんな部分でしょうか。

細川氏:着席保証のある列車がなぜ快適かというと、「追加料金を支払っていない利用者」を排除しているから。排除された人は当然、その前後の列車に回るわけだから、一般論として、鉄道各社がダイヤ全体を見れば増発していると言っても、着席保証列車の前後などは混雑度合いが増します。

 また、着席保証のある列車は停車時間が通常よりも長い傾向にあるため、駅ホームの混雑も増しているようです。

この記事は会員登録でコメントをご覧いただけます

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題