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(写真:PIXTA)

 「どうしても必要な事態になれば、当然検討されるべきだ」――。

 安倍晋三首相は6月15日の参院決算委員会で、感染症対策の一環として「罰則付き」の外出制限や営業停止を可能とする法整備を将来的に検討することを排除しない考えを示した。一方で「私権の大きな制約を伴うことになる」とも発言し、慎重に考える必要性を強調した。

 新型コロナウイルスは、東京都が16日までに6日連続で20人以上の新規感染者が出るなど、第2波への懸念も強まっている。新たな感染症が世界を襲うリスクもある中で、早期の封じ込めに向けた新たな対策が不可欠だ。現行法では知事が住民への外出自粛や店舗の営業自粛などを要請できるが、罰則はないため、感染拡大防止の効果が不十分との指摘が出ていた。

欧米では罰則付きが主流

 欧州では外出禁止など私権制限を伴うロックダウン(都市封鎖)に踏み切った国や地域が多い。3月17日に外出禁止令を出したフランスでは、必須の買い物などを除いて外出は原則禁止だった。違反すれば最大135ユーロ(約1万6000円)の罰金を科し、その後強化した外出禁止令では、30日以内に4度違反を重ねると3750ユーロ(約44万円)の罰金や最長6カ月の禁錮刑を科すという厳しい内容だ。

 理由を記した証明書を携帯しない限り外出できなかったのはイタリア。正当な理由がなく外出すれば最大で3000ユーロ(約35万円)の罰金が科せられた。

 新型コロナウイルスで世界最多の感染者・死者を出す米国は連邦制を敷いており、住民への行動制限の実施は各知事の判断に委ねられる。米国内で早期に感染が拡大したニューヨーク州は3月7日に非常事態宣言を出し、22日には知事令で原則100%の在宅勤務を義務付けた。企業が従わずに従業員に深刻な身体的危害を招いた場合など、最大1万ドル(約107万円)の罰金を科すという。

 過度な外出制限は経済を疲弊させるだけでなく、私権を大きく制限するため市民の反発も強い。5月に国家非常事態宣言を2週間延長すると決めたスペインでは、外出制限に反対する市民の間でデモなど抗議活動が広がった。

 日本は欧米に比べて人口に対する感染者や死者の数が少なく、結果的に「自粛要請」は成功例のようにも見える。ただ、市民や事業者の判断に委ねるだけでは、感染症対策としては不十分ともいえる。

 罰則規定の導入は個人の権利を大きく制限するため、慎重な議論が求められる。また強制力を伴う外出制限の発令が可能となる法改正を議論するうえでは、個人の生活や事業者の経営を迅速に補償する制度のあり方も同時に議論する必要がありそうだ。



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