ミドリムシを大量培養することで食糧問題やエネルギー問題などの社会課題の解決を目指すユーグレナの出雲充社長は、日経ビジネスのシリーズ企画「目覚めるニッポン」を読んでいて悔しくなったそうです。理由は、出雲氏らミレニアル世代(2000年以降に成人になった人)の経営者の存在感が薄いから。ただ、「ミレニアル世代の危機感は上の世代とは中身が異なる」と指摘した上で、ミレニアル世代がこれからの社会課題の解決をけん引し、その鍵は日本発の「ディープテック」にあると話します。そして、17歳の高校生を“CFO(チーフ・フューチャー・オフィサー)”に指名した理由は?

出雲社長の提言を踏まえ、皆さんのご意見をお寄せください。

>>「目覚めるニッポン」記事一覧へ

(注:記事全文の閲覧、コメントの投稿は有料会員限定です)

<span class="fontBold">出雲充(いずも・みつる) ユーグレナ社長</span><br>1980年生まれ。2002年東京大学農学部農業構造経営学卒業後、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。銀行員として働きながらミドリムシの研究を続け、2005年にユーグレナを設立。2012年に東証マザーズに上場し、2014年に東証1部に市場変更。ミドリムシで世界の栄養問題やエネルギー問題を解決することを目指している(写真:竹井俊晴、以下同じ)
出雲充(いずも・みつる) ユーグレナ社長
1980年生まれ。2002年東京大学農学部農業構造経営学卒業後、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。銀行員として働きながらミドリムシの研究を続け、2005年にユーグレナを設立。2012年に東証マザーズに上場し、2014年に東証1部に市場変更。ミドリムシで世界の栄養問題やエネルギー問題を解決することを目指している(写真:竹井俊晴、以下同じ)

日経ビジネスは今年7月末から、「目覚めるニッポン 再成長へ、この一手」というシリーズ企画で、日本が再び成長するための「この一手」を経営者や識者の皆さんにお伺いしてきました。出雲さんには、今の日本はどのように映っていますか。

出雲充氏(ユーグレナ社長):日経ビジネスの一連のシリーズを読んでいて、本当に残念で悔しいと思っていました。危機感をストレートに表現しているのが、さんや柳井さん、永守さん、小林さんたちの世代で、我々のようなミレニアル世代の存在感がほとんどありません。

 この世代の方々と比べて我々ミレニアル世代は、これからずっとこの日本で生きていかなければなりません。本来、日本の将来を真剣に考えて、立ち上がらなければならないのは、若者のはずです。それがどうでしょうか。日経ビジネスは孫さんや柳井さんたちばかり取り上げる。価値観の違う世代の人たちから、「お前らもっとしっかりしろ」と言われているようで、本当に悔しい。

偏った印象を与えてしまったようでしたら、申し訳ありません。スタートアップの若手経営者からの提言をまとめた記事も書いていますので、ぜひ、そちらもご覧ください。

(関連記事:スタートアップ・オピニオン 次世代を担う起業家たちの論点

出雲氏:日経ビジネスを批判しているわけではないので、誤解しないでください。

 ただ、孫さんも柳井さんも小林さんも、我々とは違う世代、違う時代の経営者です。一番の違いは、偉大な先輩たちは経済が成長して、資本主義というものが素晴らしいと実感し、いいものを安くたくさんつくったら売れるという時代を生きてきたということです。しかし、今はそういう時代ではありません。

 これまでは、人生にしても会社にしても、競争してたくさん稼ぐという目的に、あまり疑問を抱かなかったのだと思います。しかし、ミレニアル世代はもう、その延長線上に何の希望も持てなくなっています。そんな世代が、2025年には世界の労働人口の4分の3を占めるようになります。これから、世界の価値観は大きく変わります。その変化を前提に、我々はもっと危機感を持って日本の将来を考えるべきだと思います。

 リーマン・ショックが一番大きな節目だったのだと思います。その後、2016年に米ハーバード大学が18~29歳の若者を対象に資本主義についてどう思うのかと聞いたところ、51%が資本主義に未来はないと答えたそうです。資本主義をけん引してきた米国の若者ですら、価値観が急速に変わっています。いわば、リーマン・ショックで資本主義は一度、死んでいるんです。

次ページ ミレニアルズの危機感は中身が違う