読者とともに日本の再成長への一手を探るシリーズ企画「目覚めるニッポン」。今回は、パナソニックの中村邦夫・特別顧問に話を聞きます。2000年に松下電器産業(現パナソニック)の社長に就任した中村氏は、「破壊と創造」をスローガンに聖域なき構造改革を断行。1万人超のリストラやプラズマテレビへの大型投資で、いったんは業績をV字回復させました。現在は特別顧問を務める中村氏は、「電機業界の競争力は低下している」としつつも、「日本全体での競争力は落ちていない」と言い切ります。
中村氏の提言について、皆さんのご意見をお寄せください。
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1939年滋賀県生まれ。62年大阪大学経済学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。85年家電営業本部首都圏家電総括部東京商事営業所長、89年アメリカ松下電器パナソニック社社長を経て、93年取締役。96年常務、97年専務AVC社社長を経て2000年社長就任。「破壊と創造」をスローガンに、聖域なき構造改革を実行し、業績をV字回復させた。06年会長、12年相談役。18年より現職。(写真:菅野勝男、以下同じ)
中村さんが松下電器産業(現パナソニック)を率いていた当時と比べて、日本の産業力や開発力の低下が叫ばれています。
中村邦夫氏(パナソニック特別顧問、以下中村氏):私自身は日本の国力が沈んでいるとか、落ちているとかは感じていないですね。確かに我々が身を置く電機業界は競争力が落ちているかもしれない。ただ、自動車産業はトヨタ自動車を筆頭に国際的な競争力は依然として高いでしょう。
こうした領域は他にもあります。例えば医療分野。日本は100歳以上の人口が7万人を超える世界一の長寿国です。病院、医者、それから製薬や医療機器をすべて含めて裾野が広い産業をつくり出しています。「医は仁術なり」という言葉がありますが、医者には人格も素晴らしい方が多い。日本の強さの神髄を表している人たちだと思います。
つまり、落ちている分野があるとはいえ、トータルでは日本の実力は高いと?
中村氏:そう。まだまだ日本はいけますよ。五輪を開催できる国ですから。他の先進国はもはや逃げ腰です。そういう面で基礎体力は十分に残っています。
一方で数字の面から見ると、日本のGDP(国内総生産)は20年以上にわたりほぼ横ばいが続き、米国や中国の後じんを拝しています。
中村氏:確かにGDPもそうですが、1人当たりの所得は高くなっていません。やはり雇用する側の企業が、株主優先になっているのが問題でしょう。私が経営者だったときもそういう傾向はありましたが、株主以上に社員が大事でしたから。個人的には取締役会における社外取締役も多すぎだと感じています。
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