小林製薬はユニークな商品が多いことで知られています。製品開発でどんなことを心がけているのでしょうか。

小林氏:開発についてのブレインストーミングを行ったり、インターネットなどを活用して顧客の意見を吸い上げたりしながら次の路線を決め、「こういう商品があったらいいな」というところに切り込みます。そのとき狙うのは小林製薬の場合、ニッチマーケットであり、ニッチトップを目指しています。

 ニッチで狙っているうち1つは「小さな池の大きな魚」です。ニッチな分野の「小さい池」には大きなメーカーが参入しないし、マーケットが限られるため、競争が少なくトップになりやすいのです。小さな池で小さい魚をだんだん大きくしていきます。

 もう1つは「大きな池の一部に囲いをする」ことです。大きなマーケットの一部を切り取りそこにいる小さな魚をとるのです。魚が大きくなってきたら、囲いをもう少し大きくすることで、大きなマーケットで一定の地位を占めることができます。例えば歯槽膿漏を防ぐ薬用歯磨き粉「生葉」の場合、歯磨き粉のマーケットは大きいのですが、歯槽膿漏を防ぐことに絞るとマーケットは限定されますからこのやり方です。

 ニッチであるほどそのマーケットでは強いパワーを持ちます。しかし、ニッチ市場にも競争がありますから、トップを維持するために改革が必要です。そしてそれが結果的にトップの地位を守り続けることにつながります。153ブランドあるうち43ブランドがニッチトップです。トップから二番手になった商品は原則的になく、トップを維持しています。

 ニッチでトップに立ちそれを維持するには商品のコンセプトが大切ですが、同時に価格もカギを握ります。ブルーレットの場合、容器を買ってきて充填するのでなく、製造工程をほぼすべて自動化しています。その分、価格競争力が強く、競合品が出にくい理由につながっています。商品のコンセプトで勝っているうえに価格を考えて製造しているため、負けることがないのです。その分、技術や手間がかかっていますが、やり尽くしているためトップを走り続ける条件ができます。

ニッチな分野の新しい商品を顧客に知ってもらうためにどんな工夫をしていますか。

小林氏:小林製薬にとってマーケティングのメインストリームは「理解」だと考えています。つまり、顧客にはまず「ああ、そうか」「なるほど、そういうことか」と、わかってもらうのです。そのために商品名は「名が体を表わす」形にしています。ブルーレットもそうだし、「のどぬ~るスプレー」などなどわかりやすい商品名にしています。パッケージでも、見れば何のための商品かを絵と説明文でわかりやすく伝えます。

 広告も同じで、わかりやすさを意識しています。面白さや斬新さはそれほどないかもしれませんが、顧客に「なるほどそういうことか」と理解してもらうことを重視しています。そして「あったらいいな」と顧客に思ってもらうことが大切です。

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