海外でバリューを上げ生産性を向上する

味の素は、食品メーカーの中ではこれまでも海外展開に積極的な企業です。現地に社員が根を下ろし、徹底的なローカライズを進めてきたことは有名です。

西井氏:海外進出のやり方も、変えていく必要があると考えています。もちろん、これまで通りローカライズは徹底的に進めていきます。しかし、これからはそれだけでは不十分だと考えています。ハイエンドな商品、メード・イン・ジャパンの商品やサービスを、直接海外に輸出することも強化していかなければなりません。

 2019年5月から、(アミノ酸を補給する)「アミノバイタル」を越境EC(電子商取引)の仕組みを使い中国で売り始めました。すると、日本国内の2倍くらいの価格で売れるのです。こうした事例が増えてくれば、全体としてバリューを上げることにつながり、生産性も高まり、社会に還元することができます。そう考えて、今年4月には中国本部というローカル本部を廃止し、東アジアは日本から攻めることにしました。

 東南アジアや北米、南米、欧州という、既にローカルのビジネスがきちっとあるところは継続しますが、中国の沿岸部や台湾、香港、韓国は、日本から手掛けたほうがいいと判断しました。アミノバイタルのように、中国では作れない差異化された製品は、日本から輸出していくことを考えています。

 差異化された我々の製品やサービスを、越境ECのようなデジタルのインフラを生かして、海外にしっかりと出していく。そういうビジネスを構築していくことで、バリューを上げ、価格を上げる。それが、生産性向上の一つのチャンスだろうと思います。

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