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今、改革に着手すればまだ間に合う

国民皆保険制度が当たり前のようになっているから、現状に問題意識を持ちにくいということですね。

手代木氏:負担と給付のバランスが今のままで成り立つのかどうかを理解しようと思ったら、自分たちが持っているものがいかに恵まれているのか、ということを認識しないといけません。そうしなければ、「いやいや3割も払っているじゃないか」と感じてしまうのです。本来なら、3割で済んでいること自体が奇跡なのです。

 全体像を誰もつまびらかにしていないので、なんとなくこのままでいいんだ、誰かが払ってくれているだろう、自分たちは3割も負担しているんだから十分払っている、といった雰囲気になっています。

 そうした認識自体が間違っているということを、真面目に議論しないといけないタイミングになりました。全体像を見せて、こんな状態なんですよと理解してもらう必要があります。そこまで来て初めて、「負担額を増やすべきか」「もう少し給付を我慢すべきか」「医療の非効率を見直すべきか」といった議論ができるのです。

とはいえ、国民皆保険制度を維持するための改革は一筋縄ではいかないとも思います。次の世代のために、何ができるのでしょうか。

手代木氏:どのように国民皆保険制度が成り立っているのかを数字で明らかにした上で、どこを我慢するのかを議論しなければいけません。国民皆保険制度は当たり前のようになってしまっていますが、これが世界標準なんだと思っていたら大間違いですよ。

 日本はこれだけ恵まれているけども、それは永久には続かない可能性の方が高いよと明らかにする必要があります。だから、今だったらまだ間に合うんじゃないかというトーンで、本当のことを言うべきです。

 だけど、今はそのときの副反応が怖くて政治家もあまり語りたがらない。「老後2000万円報告書」のときもそうでしたが、みんな触れたくないもの、見たくないものを避けてしまうのです。これから何をすればいいのかを考えるために、まずは現状を理解することが大切です。そのために、国民全体で現状の把握を進めることが必要だと思います。