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読者とともに日本が再び成長するための「この一手」を考える「目覚めるニッポン」シリーズ。今回は、70歳まで第一線で働き続けるための「プロティアン・キャリア」の形成を提唱している法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授に話を聞きます。田中氏は、「50代こそ副業しよう」と提案します。そのワケは?

田中氏の提言を踏まえ、皆さんのご意見をお寄せください。

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法政大学キャリアデザイン学部のタナケン先生こと、田中研之輔教授。近著に『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(写真:竹井 俊晴)

日経ビジネスの独自調査で、企業内において「『十分な働きをしてない』と思うのはどの世代か」と聞いたところ、「50代」と回答した人が最多でした(「特にない」を除く)。定年が近づき、役職定年制度の対象になるなどして、モチベーションが低下しているようです。こうした状況をどう思いますか。

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田中研之輔氏(法政大キャリアデザイン学部教授、以下、田中氏): 55歳で役職定年という会社をよく聞きますが、70歳まで働き続けることを想定すると、まだ若い。55歳で役職定年になって、「俺の仕事人生は終わった」と考えること自体、会社に縛られ飼い慣らされている証しです。僕は、「そうじゃないぞ」というメッセージをぜひ伝えたい。

 その昔、医療の体制が十分でなかった70歳前後が寿命だった時代は、55歳は精神的にも肉体的にも老いていました。しかし、今はそうではありません。人生100年とも言われる現代で考えると、まだ45年間も残っていると自覚すべきです。バリバリ働いている人も多いですよね。バリバリか、ヨレヨレか、その分かれ目はどこにあると思いますか。

 それは、自分を客観的に見つめて、これまでキャリア資本をしっかりと積み上げてきたかどうか、です。若い頃からそういう意識を持ってキャリアを磨いてきた人なら、心配はありません。しかし、そうでなかった50歳、55歳でも、まだ遅くはありません。50歳なら役職定年の55歳まで5年間準備できますし、55歳でも定年を迎える60歳までに5年間準備できます。

 まずは、何をキャリア資産として培ってきたのか、棚卸しをしてください。あなたの資産が、社内だけしか通用しないものなのか、社外でも市場価値を持つものなのか。足りなければ今からでもキャリア資本を積み上げればいいんです。そうすれば、どこかであなたの価値を生かせる場所を見つけられるでしょう。

 50代前半と言えば、バブル世代ですよね。多くの企業で、そこが人口構成上、ボリュームゾーンになっています。そのボリュームゾーンが立ち上がれば、日本はもっと活性化します。労働人口の減少による国内総生産(GDP)の減少が懸念されていますが、50代の生産性が上がることが、日本を再成長させる一手になると思います。

 そもそも、アスリートの引退年齢が延びていますよね。カズ(三浦知良選手)は50歳を超えても現役。何で、ビジネスパーソンの引退年齢は延びてないんですか。 人生は「入学」と「卒業」の繰り返し。55歳前後で役職定年となっても、次へのステップと捉えてほしいのです。