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「メシ、風呂、寝る」という日本の構造的欠陥

「高学歴」というのは、いい大学を出るということなのでしょうか。

出口氏:そうではありません。大学院を含め、学び続けている人材が「高学歴」なのです。

 先ほどお話した通り、土地と資本と労働力の時代は過ぎ去って、アイデア勝負の時代になっています。しかし、脳は疲れやすい。集中力が続くのは1回せいぜい2時間で、1日の限界はそれを3コマか4コマ程度。これは世界中の脳学者が共有しているデータです。だから、グローバル企業は残業しないんです。

 一方、製造業は世界的に見たら「低学歴」産業です。全世界の製造業の労働者を見たら、大卒以上は4割しかいません。一方、GAFAやユニコーンの幹部には、ダブルドクター(博士号が2つ)やダブルマスター(修士号を2つ)がごろごろいます。

 ようやく、政府もそのことに気が付いて、働き方改革を始めました。これ以上、長時間残業をして、家に帰ったら「メシ、風呂、寝る」だけという生活を続けていても、経済をけん引するイノベーションは起こせませないことに気が付いたのです。

 平成の30年間、正社員に限っていえば年間約2000時間の労働時間は全く減っていません。その結果がどうかといえば、約1%の経済成長率です。一方、我が国と人口や面積が比較的似通っていて少子高齢化も進んでいる欧州の国々は、労働時間は1300~1500時間で約2%成長をしている。我が国は「骨折り損のくたびれもうけ」そのものです。いかに日本が遅れているかということを示しています。

 そして、その原因はどう考えても、マネジメントにあります。

昨今の働き方改革では、労働者側が非効率な働き方をしているという考えが、経営者の発言からうかがえます。

出口氏:大間違いです。マネジメントが悪いんです。

 この前、面白い話があってね。パリに遊びに行った友人が、「向こうの店員はひどい。ニコリともしないし、お願いしないと包装もしてくれない。それに比べて日本の百貨店の店員はすごい。ニコニコして丁寧に包装してくれる」と言うんです。

日本の「おもてなし」はすごい、という話ですね。