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 終身雇用はもう限界……。トヨタ自動車の豊田章男社長をはじめ、最近、経済界からそんな声が聞かれます。高度経済成長と人口増加を前提とした「日本型雇用」の限界や弊害はバブル崩壊以降、何度も指摘されてきましたが、ここにきて、そのほころびが改めて指摘されています。

 読者とともに、日本再生ヘの一手を探る「目覚めるニッポン」シリーズ。今回は、日経ビジネスが独自に調査した雇用に関するアンケート調査の結果について考えます。

 アンケート結果からは、若手を中心に社内の人事制度に不満を募らせている実態が明らかになる一方、定年を目前に控え、企業によっては「役職定年」の対象にもなりモチベーションが低下しがちな50代社員の働き方に対する厳しい意見が目立ちました。

 今回、議論の題材とするのは、以下の3つの設問について。

  •  Q あなたの会社の人事制度や慣習について、不満はありますか。(ひとつだけ)
  •  Q あなたの職場で「十分な働きをしていない」と思うのはどの世代ですか。(最も当てはまる世代をひとつだけ)
  •  Q 終身雇用や年功序列、新卒一括採用などを軸とする日本型雇用システムでどの世代が一番恩恵を受けたと思いますか。(最も当てはまる世代をひとつだけ)

 皆さんは、結果をどのように考えますか。ご意見をお寄せください。

 調査結果の詳細は日経ビジネス10月14日号に掲載します。

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若い世代は「働かない」50代社員に不満を募らす(写真:ユニフォトプレス)

 今回実施したアンケート調査では、働き方をめぐる意識などについてたずねた。期間は8月21日から9月6日まで。20代から60代の男女575人から回答を得た。世代別に見た場合に、意識の隔たりが特に大きかったのが、30代以下(97人)と50代(232人)だ。

 「あなたの会社の人事制度や慣習について、不満はありますか」という質問に対しては、50代のうち45.1%が「非常に不満」あるいは「まあ不満」という回答をしたが、30代以下ではこの割合が60.4%に上った。

あなたの会社の人事制度や慣習について、不満はありますか

 回答者全体では、「非常に不満」あるいは「まあ不満」と回答した人の割合は48.4%。若い世代でより不満が大きくなる傾向が見て取れた。

 不満がある理由として特に多かったのは、「成果を正しく評価してもらえない」(54歳、女性)、「実績評価と報酬の決め方についてのルールが恣意的に運用されている」(39歳、男性)といった意見。人事制度や慣習をめぐる不透明さや不公平さに多くのビジネスパーソンが不満を募らせている実態がうかがえる。

 若手の間には、「年功序列の賃金体系なため、若年層の手取り額が増えない」(35歳、男性)、「昇任に関して年功序列色が強い」(39歳、男性)といった意見が目立つ一方で、50代の間では「シニア世代のキャリアパスが不明確で一部の優秀なシニア人材のモチベーションに影響を与えている」(57歳、女性)といった声が聞かれた。

 「あなたの職場で十分な働きをしていないと思うのはどの世代ですか」と聞いた設問では、全ての年代において「特にない」との回答が最多だったが、続いて多かったのが「50代」との指摘だ。

あなたの職場で「十分な働きをしていない」と思うのはどの世代ですか

 「50代が十分な働き方をしていない」という認識を示したのは、自身が50代の回答者では19.2%だったが、30代以下では32.3%にも上った。回答者全体でも25.3%が50代が十分な働きをしていないと答えており、全般として50代に対して厳しい見方をしていることが分かった。

 その理由として40代以下の世代には、「定年が目前に控えているため、何事においても保守的になる傾向がある」(37歳、男性)、「バブル世代は入社が比較的容易だったためか向上心がなく、現状維持に努めているように見える」(45歳、女性)といった意見があった。50代の回答者からも、「50代以上で会社に貢献できていると言えるのは2割程度だ」(52歳、男性)といった厳しい声が聞かれた。