元が国際通貨になるのに50年はかかる

榊原さんの真骨頂である通貨の面で、日本が打つべき手はありますか。

榊原:通貨の問題は、国が動いてどうこうできるものではありません。円の強さや弱さは様々なことの結果として総合的に評価されるものです。

中国が、元を国際通貨にすべく動いています。日本として考えておくべきことは。

榊原:元が国際通貨になるには、まだ50年はかかるでしょう。まず国内で金融を自由化する必要があります。例えば、貸出金利などを政府が依然としてコントロールしています。これではダメです。東南アジアで華僑の人たちが取引の決済を元でしていますが、一部にとどまります。ドルの優位は簡単には崩れません。

米中経済摩擦が激しくなる中で、中国が保有する米国債を大量に売却することで対抗する、という見方が再び浮上しています。

榊原:それは、簡単に売却できるものではありません。外貨準備はドルで持つのが基本。米国債を売るということは外貨準備を減らすということです。中国もそれはしたくないでしょう。

外貨準備高が極端に減ると、投資家の不安を高め、元安を導く可能性があるからですか。

榊原:そういうことです。

アベノミクスは成功、だが出口は不透明

アベノミクスが始まってから6年半がたちました。これをどう評価していますか。

榊原:アベノミクスの肝は金融政策です。黒田東彦氏を日本銀行総裁に任命して異次元緩和を実行しました。これが成功。株価はこの間に1万円程度から2万円台にまで上がりました。

 財政政策はもろ刃の剣なので、簡単には進められません。財政赤字をさらに拡大させてしまいます。

マイナス金利などの弊害が出ています。出口戦略はどうすべきでしょう。

榊原:そこは難しいところです。日本銀行は引き締めにかじを切りたかったところですが、欧米が再び緩和に向かい始めました。これで出口は不透明に。日銀は今しばらく緩和を続けるしかありません。

 黒田さんは、必要があればさらなる緩和もする、と言っています。ただし、具体的にどうやるのか。

日銀は、9月半ばに予定されている金融政策決定会合でどのような決定を下すでしょう。

榊原:静観することになるのではないでしょうか。日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に問題は感じていないと思います。

それくらい、日本経済は安定しているということなのですね。

榊原:大きな不安はありません。悲観する理由はないでしょう。一般の国民も大きな不安を抱えているようには見えません。成長率が下がるのは、成熟すれば当たり前のことです。日本は巡航速度を維持しています。

 「ミスター円」として知られる榊原さんは、経済の成熟期に入った日本は成長よりも環境や健康にもっと興味を向けるべきだと問いかけます。メディアや識者は現状を悲観的に見すぎであり、1%前後の成長率でも問題ないといいます。

 そこでお聞きします。

  あなたは成熟社会をエンジョイできていますか?

 榊原さんの主張への感想と共に、皆さんの考えをお寄せください。

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