周辺国の成長を取り込め

日本が豊かなのは良いことですが、これからも維持していけるでしょうか。お隣の中国が依然として6%台で成長を続けています。今手を打たないでいて、日本が取り残されることはありませんか。

榊原:中国に加えて、インドも大きく成長していますね。しかし、それはGDPのもともとの値が小さかったからです。特に1人当たりGDPは小さかった。こうした国々の成長率が高い値になるのは当然です。

 加えて、こうした国々の成長が大きいならば、日本企業が進出して、高い成長を享受すればよいのです。

周りの国々の成長は、日本企業にとって脅威ではなくチャンスということですか。

榊原:そうです。特に中国、東南アジア、インド。既にそうなっていますよね。

経常収支を見ると、第1次所得収支(配当などによる収支。日本企業の海外子会社の稼ぎなどを反映する)が増える傾向にあります。これで“食って”いく国になるわけですね。

榊原:そうです。そうした構造においては円高も追い風になります。

日本企業による海外進出の成功事例にはどんなものがありますか。今後の有望な分野や地域はどこでしょう。

榊原:自動車と自動車部品は強いですよね。地域としてはインドが有望。これから中国以上に大きな成長が見込まれます。インドに進出したスズキは典型です。直近の業績は鈍いものがありますが、中長期的に見れば成長を続けるでしょう。パナソニックもインドに積極的に進出していますね。

パナソニックは、システムキッチンなどのビジネスを2018年夏から本格化し、19年春には住宅部材の総合ショールームをオープンしました。

榊原:インドの方が中国に比べて対日感情が良いのも追い風です。日本はインドの独立運動を支援した経緯があります。チャンドラ・ボースは日本から独立運動を展開しました。

外国企業の進出は消費者に利益

日本企業が目覚めないと、外国企業に市場を奪われる恐れはありませんか。

榊原:日本市場は、外国企業が進出するには難しい市場です。1つには日本語の壁があります。また、日本人は容易に外国企業の方を向こうとはしません。もちろん外国企業製のものしかない製品は別です。しかし、似たような製品があれば日本製を選ぶことが多いのではないでしょうか。そして、日本企業は新しい製品が出てきたら、すぐにキャッチアップする力があります。

そこには少し不安を覚えます。かつてパソコンが登場したとき、当初は富士通やNECの製品が大きなシェアを獲得しましたが、Windows95が登場して標準化が進むにつれて、勢いを失いました。携帯電話は、スマホが主流になるにつれ、米アップルや中国の華為技術(ファーウェイ)などがシェアを高めています。

榊原:外国企業が入ってくるのは悪いことではありません。高性能の製品が安価で入手できるのは良いことです。日本企業が衰退しては困りますが、それほどの状態にはなっていないでしょう。また、国内市場で不得手な部分は外国企業に譲り、得意な部分で海外に出ていけばよいのです。

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