日本が停滞から抜け出すために打つべき一手を考えるRaiseのプロジェクト「目覚めるニッポン」。三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏と、ミスミグループ本社シニアチェアマンの三枝匡氏の対談(前編)を題材にした議論では、「平成の30年、日本はグローバル競争で負けた」という指摘に賛同する声が多く寄せられた。では、再成長への勝機はどうやって見いだしたらいいのか。

 皆さんからのご意見を募集します。

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 三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏とミスミグループ本社シニアチェアマンの三枝匡氏の対談(前編)を題材にした議論(平成の30年、日本はグローバル競争で「負けた」?)では、たくさんの意見が寄せられた。「負けた」という意見が大半を占めた。その一部を紹介する。

入江 清隆
大日本印刷株式会社
確実にグローバル戦略では負けています。歴史のある大企業ご特に旧体制から脱却出来ず、リスクばかりを恐れて小さな新規事業にも手を出せなくなっています。これは日本全体の問題の様な気もしていますが、経営者の高齢化によるチャレンジ精神の減退と過去の成功体験でしか判断しない思考回路の蔓延かと。また、組織の肥大化と細分化で責任逃れの運営体になってしまっていることが大きな原因かと思います。
YS
負けたと思う。厳然たる事実なはずなのに日本人があまり認めようとしないのが大問題である、ということはそのとおりと思います。

日本は「電子立国」などと言われていたのに、平成に入ると電機産業はリストラを続けるばかりで新しいことができず、逆に流失した人材が中韓の企業の台頭を支えるなど悪循環に陥りました。残された産業の柱である自動車産業も厳しい挑戦を受けています。

ただ、主張には100パーセント賛成なのですが、「平成は経済で失敗した時代だった」というより「平成は昭和の経済成長時代(バブル以前も含む)のツケを払う時代だった」というのが正しく、平成の人々の苦悩をただに低く評価することは生産的とは思っていません。
松下芳生
JPスタイル研究所 代表
負けたと思います。書店には「日本が一番、世界がうらやむ」と称えては、「人口減だから仕方ない」と慰める本も多く、まるで、目や足が外に行かないよう心地よい麻酔をかけている様です。余計な主張や解釈を論じる前に、現実をファクトで共有し、確認する作業が必要です。

 ここで紹介したのはごく一部で、全てのコメントは「[議論]平成の30年、日本はグローバル競争で『負けた』?」でご覧いただきたいが、どれも考えさせられる指摘ばかりだ。

 では、こうした「負けている」状況からどのように抜け出し、再成長に向けた勝機を見いだしたらよいのだろうか。この点については、様々な経営者や識者の提言を通じて本シリーズで読者の皆さんと一緒に考えていくことになる。まず、小林氏と三枝氏は次のように語っている。

ミスミグループ本社シニアチェアマン 三枝匡氏
ミスミグループ本社シニアチェアマン 三枝匡氏

三枝匡氏(ミスミグループ本社シニアチェアマン)ビジネスと組織を変えていく上で重要なのはリーダーです。そして課題克服へのキーワードは「失敗」と「経験の蓄積」だと思っています。失敗を経験させるには、ちょっと危ないことにも近寄らせないといけない。これを意識的にやって、仮にうまくいかなかった場合でも「最高の経験をしたね」と褒めてあげると、人は育つわけです。失敗と経験を褒めるという慣習をまず作らないといけないですね。

三菱ケミカルホールディングス 小林喜光氏
三菱ケミカルホールディングス 小林喜光氏

小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)企業が「戦う意志」を取り戻すためには、人材活用の面では僕は2つの道しかないと思っています。

 一つはセンスの良い人材を「中」から引き上げる道。もう一つは、日本でも取締役を社外から起用せよという流れができてきたように、「物言う株主」などの指摘も踏まえ、外部から人材を連れてくる道です。「黒船」とも呼べる外的要因に頼るか、内側にいる若者に期待するか。日本企業はなかなか自分では内部の変革をしにくい体質なので、黒船に頼るのが現実的と思っています。

 小林氏と三枝氏の提言は多岐にわたるが、大きくまとめると以下のようなものだ。

  • 一、「惨敗」の現実をまず受け止めよう
  • 一、大企業こそ変革の先駆者に
  • 一、諦めず、世界で勝てる領域を開こう
  • 一、「外れ者」を積極活用する組織に
  • 一、「失敗」を経験させ、褒める慣習を作ろう
  • 一、「外」の視点を使い、事業の整理・統合急げ

 読者の皆さんは、再成長に向けた勝機を、どのように見いだしたらよいとお考えだろうか。

 平成の30年、日本はグローバル競争に「負けた」――。そのような認識に立ったとき、これから私たちは、何を考え、どのような行動を起こしていったらよいのでしょうか。

 そこで今回は、次のテーマで皆さんのご意見をお聞きします。

 再成長へ、日本の勝機はどうやって見いだす?

 小林氏や三枝氏の提言への感想とともに、皆さんのご意見をお聞かせください。

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