
日本で40万部を超えるヒットを続ける『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)。人々が世界のファクト(事実)をいかに誤って認識しているかを、統計的アプローチと心理学的アプローチを融合させることで明らかにし、データや事実に基づいて世界を読み解く習慣を身に付けることの大切さを訴えている。このベストセラー本の著者の1人、アンナ・ロスリング・ロンランド氏に、人口減少というファクトに直面している日本の現状をどのように見たらよいのか、データを示しながら話を聞いた。
人口減少によって、これまでのような経済成長モデルは維持できないという危機感を多くの経営者などから聞くことが多い。だが、日本が人口減少に直面することは、何十年も前からわかっていたのではないか。それなのになぜ、これまで人口減少時代の成長モデルに移行する準備ができなかったのか。
ロスリング氏は、「予測に基づいて行動を起こすことは難しかったとしても、人口減少は既に始まっている“ファクト”。今こそ、アクションを起こせる」と話す。
ロスリング氏の視点を踏まえ、皆さんのご意見を募集します。
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まず、このグラフを見てください。日本の人口推移を示しています。あなたが立ち上げたGapminder(ギャップマインダー)というウェブサイトを使っています。
1980年代から人口の伸びが鈍化し始め、2000年代はほぼ横ばい。そしてついに、人口が減少に転じていることがわかります。これまでのような経済規模を維持することは難しいのではという意見があり、多くのビジネスリーダーが今すぐにも日本経済、そして日本企業の成長モデルを新しい時代に即したものに変えなければならないと危機感をつのらせています。
そこで最初の質問です。まず、アンナさんはこのグラフからどのようなことを読み取れますか。
アンナ・ロスリング・ロンランド氏(以下、ロスリング氏):まず第1に、ここにこうしてデータを持ってきていただくという姿勢こそ、会話と分析を始める重要な方法ですね。まさに、ファクトフルネスの第一歩です。
私は、データを比較可能で視覚化することにたいへん力を注いできました。その成果がGapminderで、それぞれの分野の専門家にぜひ、Gapminderを使って未来を予測し、分析し、アクションにつながる意思決定をしてもらいたいですね。
ファクトを正しく見ることは、人々が共通の認識に立って行動を起こす上での最初のステップになります。ここではまず、私とあなたが同じデータを見ています。それによって、より容易に、明確に議論をすることができますよね。
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