「次世代の組織モデル」として注目を集める「ティール組織」。日経ビジネスは読者参加型の「オープン編集会議」プロジェクトを実施してきました。公募・選考を経てオープン編集会議メンバーになったのは21人。コンサルタントや起業家、会社員など、それぞれの専門知識や関心領域を生かし、編集部の記者と一緒に取材し、議論を重ねてきました。オープン編集会議メンバーは、ティール組織をどのように評価したのでしょうか。主要メンバーがリポートします。(活動の詳細は日経ビジネス2019年10月28日号「スペシャルリポート」で報告しています)
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私は外資系会社の出身であるために、日本企業の文化や組織慣習は肌感覚では分かっていないところがあるがあえて上記の意見とは違う論を述べたい。すなわち「変わることは難しい」で終わるのでなく、ティール組織が要求される社会の変革に合わせて、企業の変革を真剣に自ら問いかけて変わる必要があるというのが、私の考えだ。
以下理由を記していきたい。
日本企業が変わる必要のあるこれだけの理由(1)
「ティール組織」において、『ティール組織』著者のフレデリック・ラルー氏は未来永劫(えいごう)の成長は不可能だと指摘する。これは、今まで私たちの経済活動において常識だった国内総生産(GDP)をベースとした考えとは一線を画す。
日経ビジネス電子版の[議論]J・スティグリッツ「高齢化から付加価値生み出せ」の記事の中でも、地球の限界を理解した経済とライフスタイルの豊かさを指標とすべきであるとBeyond GDPを提唱していることも同様の文脈となり、ラルー氏の前提と重なる。
世界を見渡せば、社会や経済のテーマは「持続可能性」に主軸を移しつつある。SDGsしかり、先日の「気候行動サミット」におけるグレタ・トゥンベリ氏の演説がこれだけ世間の話題をさらったのも、現在の経済活動に対する限界を示したものだ。
実際に兆候はある。トゥンベリ氏に限らずZ世代のエシカルへの関心は高いし、そもそも服やクルマを買わないようになっている。環境保護組織が主導した「#boycottfashion」では1年間、新品の服を買うことをボイコットしようというもので、フォロワーも多数いる。
またアメリカを起点とするシェアリングエコノミーやサブスクリプションモデルがこれだけ台頭しているのも、背景には消費そのものに対する疑問が生じているのではないだろうか。
そもそも、グローバルでは金余りが生じている現状がある。これは、旧来の経済システムにおいて投資家が投資に値する会社が存在しないと言っているようなものだ。
「ティール組織」においても現在の経済構造は、19世紀から20世紀初頭にかけての価値観や社会観がベースになっていて時代遅れだと著者は述べている。確かにこの20年を振り返っても、社会の仕組みは大きく変わった。経済構造そのものも更新する時期にきているのである。