KPIに基づく指示で、残業が激減

今のMIKAWAYA21で抜本的にマネジメントスタイルを変えたそうですね。

青木:はい。以前の組織運営は完全に崩壊していたので、当時の僕の方向性とは180度対極にある組織管理メソッド「識学」を学ぶことにしました。いわば、ティール的な組織をやめて、明確なヒエラルキー型の組織運営にしたわけです。

 すると、スタッフの残業が今はほとんどなくなりました。ベンチャー企業なのに、社員の平均残業時間は月20時間を切っています。メンバーはみんな、直属の上司の指示に基づいて働けばいい。

 それも指示が極めて明快に数値化されていますから、以前のように「ゴールが見えない」と悩むこともありません。自分に与えられた仕事を粛々とこなし、達成できれば評価される。極めてクリアな組織運営になりました。

 分かりやすく例えると、教会を建築するとき、外壁のれんがを積む人が、電気工事の進捗状況を知る必要はないんです。れんがを積む人は、今日はどこまでれんがを積めばいいのか、自分のすべき仕事に集中すればそれでいい。

 かつて、僕は頻繁に会議を開いて社内の情報を共有していました。各部署の情報を社員みんなに伝えて、意識を1つにすれば、結束力が高まると考えていたんです。社員は、自分とは関係のない会議が増えて疲弊していたはずです。

 一方で、今は月1回の全社会議で方向性や各部署の報告を受けるくらい。30分で終わるので、社員の負担は随分、軽減されています。

 また目標もすべて数値化しています。僕と各部長がKPIを決めて、部長はその目標を達成するために、チームのメンバーに具体的なスケジュールやタスクを振っていく。みんなが「今週はこれをやりきれば終了」という目標がはっきりしているので、仕事に迷いがなくなります。

 そもそも育ってきた環境や価値観の異なるメンバーが一緒に働くわけです。何を重視するのかは明文化しなくては分かりません。だから今の会社ではルールを明文化して整理しています。

 「MIKAWAYA21 Quality」という共通のルールを設けているわけです。中には「遅れる場合は10分前までに連絡を」といった基本的なことも含まれています。

 現在のマネジメントを実践し始めてからは、お客さまからも非常に褒められるようになりました。社員がきちんと成長していますね、と。業績も急激に伸びており、この先1年で、今の10倍の社員を採用しなくてはなりません。

 かつて、ティール型の組織を志向していた頃、僕は社員数は増やさないでおこう、と思っていたんです。自分できっちりとケアできる社員は20人くらいと考えていたんです。月1回、社員一人ひとりと、夜ご飯を食べながらしっかりと意思疎通を図るとなると、20人が精いっぱいです。

 ただ、やはり社会にインパクトのある事業を展開するには、社員数は増やしていかないといけない。そのためには以前のマネジメントではやはり、僕は駄目だったんです。

 20年後や30年後、日本でも人々が幸せに働くにはティール組織がいいよね、という考え方が浸透しているかもしれません。けれど、きっとティール組織が評価されるのは、株式上場をしていないプライベートカンパニーなのではないでしょうか。

 現在の資本主義社会では企業の成長が大前提。ティール型のマネジメントでそれを着実に実現するのは、やはりハードルが高いだろう。少なくとも僕は、自身の経験からそう実感しています。

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