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 2018年1月に日本語訳本『ティール組織』(英治出版)が発売されて以降、日本国内ではこのフラットでメンバーが自律的に動く「ティール組織」が「次世代の組織モデル」として注目を集めています。

 オープン編集会議「ティールってなに? 非管理型組織のススメ」では、ティール組織の日本での第一人者である嘉村賢州氏(東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授)や「よなよなエール」などのクラフトビールで知られるヤッホーブルーイングの井手直行社長に取材しました。

 一方、「ティール」を目指すと必ずうまくいくのでしょうか。オープン編集会議ではヒエラルキー型の指示に基づく組織運営を志向する識学(東京・品川)にも取材をしています(参考:[議論]ティール組織にそぐわないのはどのような場合?)。

 今回は識学を取り入れ、地域密着型のシニア支援サービスを手掛けるMIKAWAYA21(東京・中央)の青木慶哉社長に取材しました。青木社長は「かつては“ティールの申し子”だった」と自任する一方、その当時は組織運営がうまくいかなかったと告白しました。どのような課題があったのか、またティール組織を目指すなら、何に注意すべきなのか、編集部で取材しました。

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(写真:PIXTA)

青木社長はティール型の組織運営を目指していたそうですね。どのような運営をしていたのでしょうか。

青木慶哉社長(以下、青木氏):MIKAWAYA21は2012年に設立していますが、その前の会社で、私はティール型の組織運営を意識していました。

 当時、「ティール組織」なんていう言葉はもちろんなかったのですが、生まれながらのティールの申し子だったと胸を張れるくらいです(笑)。

 米ザッポス(編集注:アパレル通販サイトを運営する米国の企業。フラットなティール組織の特徴と重なる部分のある組織運営モデル「ホラクラシー」導入を進める企業として有名)のトニー・シェイCEO(最高経営責任者)を尊敬していて、セミナーに出席し、ザッポスに関する本は何回も繰り返し読みました。

 僕はティール組織をジャズセッションのようなものだと思っていました。それぞれが互いの顔を見ながら、息を合わせて、目的に向けて行動していく。いちいち言葉で指示を出さなくても、お互いがあうんの呼吸ですべきことを実践する。そんなイメージです。

 だから社内でも、極めて抽象的な話ばかりをしたんです。「自分と価値観を共有できれば、細かいやり方まで指示しなくても、社員が自分で考えて、ベストな判断を下すはずだ。働く人の意思決定に委ねることこそ、いいリーダーの証しだろう」と。

 例えばあるときには、「異常なぐらいの親切を」というミッションを掲げて、それを体現する組織になろうとしていました。「異常なぐらいの親切」をテーマに、みんなで1年間追いかけてみよう、と。

 会議では毎週2時間ぐらい、僕が自分の思う「異常なぐらいの親切」という世界観を語り、その価値観を共有しようとしていたんです。

けれど、実際には実現できなかったのでしょうか。