2018年1月に日本語訳本『ティール組織』(英治出版)が発売されて以降、日本国内ではこの「ティール組織」が「次世代の組織モデル」として注目を集めています。
オープン編集会議「ティールってなに? 非管理型組織のススメ」では、ティール組織の第一人者である嘉村賢州氏(東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授)に続き、「よなよなエール」などのクラフトビールで知られるヤッホーブルーイングの井手直行社長に取材しました。ヤッホーの井手社長は、かつて苦悩した経験からフラットな組織運営に移行。大きな成果を手に入れました。組織をフラットにした効果とは。オープン編集会議メンバー11人と、長野県佐久市の醸造所で2時間にわたって取材しました。
皆さんは、ヤッホー井手社長の取り組みを聞き、どのように感じますか。ご意見をお寄せください。
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ヤッホーブルーイング井手直行社長(以下、井手氏):まず、ヤッホーブルーイングの骨格をお話ししていきます。看板製品は「よなよなエール」。1997年に我々が最初につくったビールの1つで、今年で23年目です。家庭で飲める手ごろな本格エールビールというのがコンセプトです。ブランドキャラクターは「知的な変わり者」で、このキャラクターが会社の組織文化にもなっています。
ティール組織というところでは、私たちは経営理念というのをとても大事にしてきました。経営理念の一番の上位概念は会社のミッションです。私が2008年に社長になる少し前ごろにつくり、社長になって本格的に浸透させようと思いました。ミッションというのは使命であり、会社の存在する意義や目的です。また長期的な将来像の目標を立てないといけないので、ある程度指標となる目安の最終像としてビジョンという言い方をするものも持っています。
ミッションは「ビールに味を! 人生に幸せを!」というキャッチフレーズです。画一的な味しかなかった日本のビール市場にバラエティーを提供して、新たなビール文化を創出する。そして、ビールファンにささやかな幸せをお届けするという、結構壮大な使命、ミッションを掲げています。周囲の人からは、「まるで宗教みたい」ともいわれますが(笑)。
こうしたミッションやビジョンを支える柱の1つに組織文化として、ガッホー文化というものがあります。「頑張れヤッホー(ヤッホーブルーイング)文化」です。何となく、その都度、文章や言葉や事例で受け継がれているものですが、みんなで究極の顧客志向を目指そうということです。普通ではなく、究極です。そして、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)しよう、せっかくやるのなら仕事を楽しもう、自ら考えて行動しようという仕事の仕方です。また「よなよなエール」の知的な変わり者という要素も加わっています。そして、土台にはフラットな組織文化というのがあります。
ティールというテーマに一番近いのは「フラット」ということなので、もう少し説明します。楽しく働くにはフラットということが大切だと思っています。
そして、例えば売り上げといったような、物事の成果は「打ち手の質」と「打ち手の実行」度合いで決まると思っています。
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