グリーンやティールの組織でないと「選ばれない」

日本の企業はなぜ、ティールを実践できないのでしょうか。また実践するには、どういった形で取り入れればいいのでしょうか。

嘉村氏:まず大前提として、ティールだけが、目指すべき組織の形ではない、ということです。

 その上で、ティール化しやすいのは、中小企業や新たに立ち上げたベンチャー企業だと思います。

 一方で、大企業は時間がかかるはずです。なぜ大企業が難しいかというと、どんなに人事部などがティールについて勉強をしても、組織のトップである社長の意識がティールに向かないと、実現は不可能だからです。

 大企業であれば、意識の高い人が集まる社内コミュニティーをティール化していったり、ある部署で実験的に導入してみて「楽しい」という原体験をしてから、全社的に広げていったりするのが、ティールを導入するための手順だと思います。

 ただこの先、若い世代が、グリーン(コミュニティー型組織)やティールの企業しか就職先に選ばなくなる時代が到来するかもしれない、ということは、考えておかねばなりません。そしてそんな時代が到来するのは、決して遠い未来ではないはずです。

 ある人の人生の「主人公感覚」を失わせている今の組織のマネジメントの在り方はどうなのか。それが、今の組織に対する問題意識です。

 一方で、よく勘違いされることとして、「ティールは自由だ」ということがあります。けれど私は、それほど自由でもないと感じています。

ティールは「自由と調整」

嘉村氏:「自由と責任」という言葉がありますが、ティール組織は「自由と調整」だと思っています。

 例えば、子供が生まれたら、3年間はゆっくりと子育てをしながら過ごしたいと会社に宣言するとします。

 その場合、ティール組織であれば、子供が生まれるまでの2年間をかけて、自分にしかできない仕事をほかの人に振り分けられるよう、同僚と話し合いを重ねながらきっちりと調整をして、3年間休む。周りを巻き込んで3年間休めるような環境をつくるわけで、「明日から突然会社に来なくなる」といったことが許されるのがティール組織ではないのです。

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