ティール組織と自然界の共通点

嘉村氏:ティール組織の方向性として、私が理解しているのは次の3つのポイントです。

【1】自主経営

 英語で「セルフマネジメント」と呼ばれているものです。階層構造を手放した一人ひとりが自由に意思決定できる組織構造ということです。よくある誤解として、「ティール組織は優秀な人の集まりでないと、成り立たないのではないか」というものがあります。けれど、それは一切ないと思います。

 昆虫や植物は指示命令系統がない中でも見事に冬を乗り越えていますよね。人間はなぜか部長、課長、マネジャー、といった指示命令系統をつくり出しましたが、ティールは自然界のようにトップがいなくても成り立つ組織構造である、というのが特徴です。

【2】全体性

 ティールでは、複数役職を大歓迎しています。そもそも人間には、いろいろな得意技があるはずです。けれど今の日本の組織というのは、その得意技の一部しか使っていませんよね。経理が得意な人は経理だけをやっている。もしかするとその人にはコーチングや営業企画など、別の得意技があるかもしれないのに。それが生かされないのはもったいないし、果たして幸せな人生なのでしょうか、と問うているわけです。

 また同時にティールだと、人間の持つすべてのものを出せるような、安心・安全な職場でもあるということです。例えば、感情を頼りにして働き方や組織の構造を変えたほうが、最終的にはもっと人間の本領を発揮できるのではないか、ということです。

【3】存在目的

 ティール組織では、3~5年先の事業計画を持っていません。そうではなくて、20年先を見据えて「今」に集中しているんです。

 変化の激しい時代に事業計画書をつくるのは難しいですよね。それも業績などが上下に振れることはままあります。ですから本来ならば数年先の事業計画書を策定して、その通りに実現するのは難しいはずです。そして目先の計画通りの結果を出そうとするから無理が生じてしまうんです。

 そういった目先の計画を策定するよりも、まず行動して、世界を変えていく、ということを繰り返しながら、事業内容や組織構造を進化させていくのが、ティールです。

 この3つの特徴をすべて兼ね備えている組織はまだありません。多くても、3つの特徴のうち2つくらいを実践している組織が、ようやく世界の中でもちょこちょこと生まれてきている、という状況です。

 人間の対等性を維持しながら自由に意思決定を下していく。その意思決定は信頼で結びついているので、相乗効果を生み続けていく組織と考えるといいのではないかと思います。

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