「着眼力」「論理的思考力」「情報活用力」「プレゼン力」「質問対応力」――。ビジネスパーソンに欠かせないこれら5つの力を、その道の第一人者との対話によって学びます。学生から若手社会人まで、ぜひコメント欄で議論に参加してください。
第2弾は「論理的思考力」を学んでいきます。講師は、ゴール・システム・ コンサルティングの村上悟社長。制約条件の理論であるTOCをベースに、多数の企業に対して現実的な問題解決策を提供しています。村上氏が出題する課題と、同氏とのコメント欄での対話を通じて、論理的な思考を磨きましょう。
皆さんは、次のような状況に陥ったことはありませんか? 一生懸命になって話をしても、相手に内容が伝わらない。何とかしたいと思っている困った問題があるが、どこから改善すればいいか分からない。人の話を聞いていて、何か釈然としない。理屈は通っているように聞こえるけれど、正しいかどうか判断できない――。
要するに、相手の言うことがよく分からなかったり、自分の話したいことが相手に伝わらなかったりするという状況です。実は多くの場合、物事の「つながり」が論理的でないと思って間違いありません。

これから皆さんと学ぶ「論理的思考力」とは、物事を筋道立てて考える力と言い換えることができます。私たちの身の回りの物事(=事象)の本当の姿を理解し、物事と物事のつながり(=因果関係)を、それが「なぜ」繋がっているのかという「理由」も含めて理解することだと言えるでしょう。
ですから「論理的思考力」とは特殊なスキルではなく、日常の様々な場面で活用でき、また鍛えることができます。論理的に考えることができれば、ビジネスパーソンとしての必須能力である、問題を理解して解決する「問題解決力」を高めることができるのです。
この連載では皆さんの「論理的思考力」を鍛えるために、日経ビジネス電子版で配信されている様々な身の回りのニュースを題材にして、
- 1.物事の因果関係の把握
- 2.物事の論理的な構造の把握
- 3.問題の把握とその構造化
- 4.解決策の考え方
- 5.目標をステップに分解して展開する方法
という5つのテーマを例題とともに学んでいきます。今回は前半ということで、1〜3までを出題します。
「風が吹けばおけ屋がもうかる」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。「思ってもいない意外なところに影響が出る」「当てにならない期待をする」などの例えで使われますが、でもなぜ風が吹いたら、おけ屋が儲かるのでしょうか? 今回のテーマである「論理的」に考えてみましょう。
- 1.風が吹くと土ぼこりが立ち、それが目に入って目が見えなくなる人が増える
- 2.目の見えない人は三味線を弾いて生計を立てようとするので、三味線が売れる
- 3.三味線が売れると、胴に使用される猫の皮の需要が増える
- 4.猫が減るとねずみが増える
- 5.ねずみはおけをかじるので、おけ屋がもうかる
何だか、怪しいお話ですね。それぞれの内容も、そのつながりも「本当?」と思うことばかりです。具体的に何がおかしいのでしょうか。例えば、「土ぼこりで目が見えなくなる人が増える」のは、一体どれくらいの人数でしょうか。医療技術が進んでいない江戸時代のことだとしても、三味線の需要が急増するほど多いとは思えません。いくらねずみが増えても、おけ屋がもうかるほど風呂おけをかじるとは考えにくいように思われます。
こういった話に対して、どう考えてどのように反論すればいいのでしょうか?
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