あなたが考えた「渋沢栄一の夢」や「業界に対する新しい価値」に対してアクションを起こす際に、どんなハードル、悩みに直面すると思いますか? またあなたならそのハードルをどう乗り越えますか?
「着眼力」「論理的思考力」「情報活用力」「プレゼン力」「質問対応力」――。ビジネスパーソンに欠かせないこれら5つの力を、その道の第一人者との対話によって学びます。学生から若手社会人まで、ぜひコメント欄で議論に参加してください。
第1弾は「着眼力」を学んでいきます。講師は、経営コンサルタント・作家であるアルマ・クリエイション代表取締役の神田昌典氏。2012年にアマゾン年間ビジネス書売り上げランキングで1位を獲得するなど、自ら開発した創造的問題解決スキル「フューチャーマッピング」などの手法が高い評価を受けています。神田氏が出題する課題と、同氏とのコメント欄での対話を通じて、アイデアの生み出し方を磨きましょう。
渋沢栄一をご存じだろうか? 「日本の資本主義の父」と称され、2024年上半期をめどに一新される新1万円札(日本銀行券)に肖像が描かれる。新5千円札、新千円札にそれぞれ肖像が描かれる津田梅子、北里柴三郎とともに、日本の近代化に大きく貢献した人物だ。
5回集中連載「対話で学ぶ5つの力」の初弾は、「渋沢栄一が現代に蘇ったら?」という仮定をもとに、着眼力を学んでいく。

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この一見、突拍子もない課題を出したのは、経営コンサルタント・作家であるアルマ・クリエイション代表取締役の神田昌典氏。「実績をつくる方法には、できることから考える『フォアキャスティング』と、あるべき姿や目標から考える『バックキャスティング』があり、グーグルをはじめとする多くの外資系企業は後者を選択している。『渋沢栄一ならどんな夢を描くか』という未来を考えることで、創造的な着眼点を導き出すことができる」と同氏は言う。

アルマ・クリエイション代表取締役、一般社団法人リードフォーアクション代表理事上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルべニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。同年、作家デビュー。分かりやすい切り口、語りかける文体で、従来のビジネス書の読者層を拡大。2012年、アマゾン年間ビジネス書売り上げランキング第1位。
バックキャスティングとは、未来志向の一つであり、ある程度の未来(なりたい姿)を想像し、そこから逆算して現在から未来までの過程で何をすべきかを考える思考法である。今回の課題も、バックキャスティングの考え方を忘れずにコメント欄にて皆さんのアイデアを自由に投稿してほしい。
まずは神田氏が考える着眼力の鍛え方や、渋沢栄一をなぜ題材に選んだのかをインタビュー形式で掲載する。
コンサルティングやマーケティングなど幅広い分野で多数のアイデアを実践しています。その源泉は?
神田昌典氏(以下、神田氏):最近、「探求」という言葉がキーワードになっていますよね。例えば以下の文章を読んでいただけますか? 「令和で求められるビジネスリーダー像」というテーマなのですが。
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃には、日本経済は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。
また、急激な少子高齢化が進む中で成熟社会を迎えた日本経済にあっては、一人一人のビジネスリーダーが持続可能な社会の担い手として、多様性を原動力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。
こうした変化の一つとして、進化した人工知能(AI)が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されるIoTが広がったりするなど、Society5.0とも呼ばれる新たな時代の到来が、社会や生活を大きく変えていくとの予測もなされている。また情報化やグローバル化が進展する社会においては、多様な事象が複雑さを増し、変化の先行きを見通すことが一層難しくなってきている。
このような時代にあって、日本経済のさらなる繁栄のためには、ビジネスリーダーは様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、様々な情報を見極め、知識の概念的な理解を実現し、情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。
どう思われましたか?
硬い文章ではありますが、時代背景なども踏まえ、リーダーが置かれている状況が整理されていると感じましたが……。
神田氏:実はこの文章、あるところから拝借して、私が「ビジネスリーダー」という文言を加えただけなんですよ。出典はどこだと思いますか?