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8/27の課題(74/100)

生産性向上プロジェクトの改善策を協議する場として、あなたは、材料を生産するガラス工場、お客様から受注する営業部、ガラス材料を開発する研究所、事業を統括する事業管理が参加する会議の機会を得ました。自分の工場内だけでなく、他の立場の関係者を巻き込み協働することで、新たにどのような改善案を検討できるようになるか考えてください。


8/28の課題(75/100)

分析の結果から有効そうな改善案を3つ挙げました。
A案:多品種の大サイズのガラスを自動で入れ替えられる設備を導入、段取り作業を低減させる
B案:切断工程の作業員へ教育を行い作業の標準化を図る
C案:切断しやすい新しいガラス材料を開発する
これら3案を比較評価するために評価軸を決めた上で、最善の案を決めてください。その際、どのような評価軸を用いたかも含めて回答してください。

1日1問の課題に向き合い、考える癖をつけましょう。アビームコンサルティング、エイベックス、AGC、キリンホールディングス、凸版印刷、日本生命、ライオンの7社が、毎日1問、100日で計100問の課題を出題し、各社の強みを伝授します。読者はコメント機能を使ってその議論に参加できます。営業力や発想力、ヒット商品の作り方──。この連載を通して、明日からビジネスの現場で使える知識や考え方を学びましょう。

 2017年の日本の「労働生産性」(就業1時間当たり付加価値額)は、47.5ドル。米国の72ドルの3分の2程度の水準で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中20位にとどまり、主要先進7カ国で見ると最下位の状況が続いている――。

 日本生産性本部が毎年公表しているOECDデータに基づく調査結果だ。少子高齢化が進み労働力の減少が避けられない日本で、生産性向上は経済規模の維持や拡大の鍵となっている。

 今回は板ガラスや自動車ガラス分野で世界シェアトップを誇るガラスメーカー、AGCとともに生産性を向上させるための考え方を学ぶ。

(写真:PIXTA)
 

 同社は「生産性革新推進部」という、業務の見直しなど生産性向上に向けた取り組みを請け負う課題解決専門部署を抱える。生産性のプロ集団だ。メーカーの場合、生産に関わる過程はまさに他社製品との差異化につながるため、外に対してクローズな場合が多い。外部にヒントが転がっていることは極めて少ないため、自社独自でプロセスを見直すことが必要というわけだ。生産性革新推進部のメンバーは約70人。国内外の工場から営業までの業務改善を担っており、今回はその中の1人、磯村幸太氏がメンターを務める。

真の価値と最適なプロセスを考える

 生産性は、アウトプット(付加価値)÷インプット(投入資源)で測る。磯村氏は「生産性を高めるというと、コストダウンや労働時間の削減などインプットする資源をいかに最小化するかという点に重きを置きがちだが、価値をどう高めるのかという点まで視野を広げる必要がある」と話す。生産性を高めるためには、分母となる資源削減を図ることに加え、顧客がより高い価値を感じる商品やサービスを生み出して分子である価値を上げていくことが欠かせない。

 今回は「付加価値とは何か」を意識した上で、どのように価値を生み出す最適なプロセスを作り上げていくかについて考える。AGCの工場を想定した課題になっているが、価値を生み出す最適なプロセスをどのように見つけ出すかは、営業など文系職種でも共通だ。

 目指すべき価値の考え方について、磯村氏は「製品の特性と顧客のニーズが重なる部分が『価値』になる」と語る。例えば、結露の防止に強みを持つガラス製品を、リピート客を増やしたいホテルに売るとする。その場合、価値とは単に結露を生み出さない窓というわけでなく、「客室からの景観を向上させ、顧客満足度を向上させること」になる。

 また生産性向上には、投入資源を使って価値を生み出す「プロセス」が重要になる。AGCは特にプロセスに多くの労力を割いているという。製造に必要な設備を導入する場合も設備を買って終わりでなく、自分たちで設備を改造して生産工程を作り出す。そうすることで「効率良く高品質の製品の製造が可能になり、その差異化した部分がもうけにつながる」(磯村氏)。

 その代表例が液晶ディスプレー用ガラス製造工程だ。AGCは「フロート法」という独自の製造方法でガラスを製造し、それを磨くというプロセスを取ることで他社との差異化を図っている。「磨く」という作業が必要なため一見して効率が悪く見えるかもしれない。しかし、他社はなかなかまねすることができず、液晶ディスプレー用のガラスを製造できるのは、AGCを含め世界で数社しか存在しない。

 また、どのようなプロセスを選ぶのかを考えるためには、現状の課題に対する問題点を「見える化」し、整理しておくことも必要な作業になる。

 今回はAGCの新入社員になったつもりで下記のケースに取り組み、価値の生み出し方を学んでほしい。