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【8/8の課題(67/100)】

さて、ここまでピコ太郎と架空の新ユニットのケースを通じて、ヒットを生み出すコンテンツビジネスについて学んできました。ビジネスモデルキャンバスを使うことで、事業の全体像を意識しながらアイデアを発想する練習にもなったのではないでしょうか。2つのケースで学んだこと、気付いた点を自由に投稿してください。

1日1問の課題に向き合い、考える癖をつけましょう。アビームコンサルティング、エイベックス、AGC、キリンホールディングス、凸版印刷、日本生命、ライオンの7社が、毎日1問、100日で計100問の課題を出し、各社の強みを伝授します。読者はコメント機能を使ってその議論に参加できます。営業力や発想力、ヒット商品の作り方──。この連載を通して、明日からビジネスの現場で使える知識や考え方を学びましょう。

 ヘビ柄やヒョウ柄の衣装に長身を包み、角刈りと眼鏡で決めたこわもての男。音楽が鳴り始めると、彼は突然陽気に踊り出し、奇妙な歌を歌う。そして、決めぜりふは「ペンパイナッポーアッポーペン」──。

 2016年8月にYouTubeで公開した楽曲で大ブレイクし、日本だけでなく世界中で一躍「時の人」となったアーティスト、ピコ太郎。代表曲「PPAP」は「全米ビルボードトップ100に入った世界最短曲」としてギネス認定を受け、YouTube上の1本の動画だけで1億3000万回以上再生されている。

 ピコ太郎はなぜ、ほとんど無名の状態から世界の人気者になることができたのか。「単なる『運』だ」と思う人もいるかもしれない。しかし、彼のマネジメントを担うエイベックスの活動に焦点を当てると、ビジネスとしての成功の要因が見えてくる。100日養成塾の第6弾は、エイベックスから「新機軸のコンテンツビジネス」を学ぶ。

(写真:PIXTA)

 2018年で創業30周年を迎えたエイベックスは、音楽やアニメ、芸能などの領域を股にかけて様々な関連事業を展開する総合エンターテインメント企業だ。同社を特徴づけるのが「360度ビジネス」。音楽であれば楽曲の制作・販売だけでなく、所属アーティストの支援(マネジメント)、コンサートやライブの企画・運営、グッズ制作やファンクラブ運営まで、多岐にわたるビジネスを展開する。収益源が幅広いからこそ、アーティストを大きく売り出し、大胆に流行を仕掛けられる。浜崎あゆみ、TRF、AAAなどはその代表だ。

 そんなエイベックスの所属アーティストであるピコ太郎。しかし、デビュー当時から同社の全面的なバックアップを受けたわけではなかった。エイベックス所属のお笑いタレントでプロデューサーである古坂大魔王氏、エイベックス・マネジメントの白取輝知ゼネラルマネージャー、新井正則シニアプロデューサーの3人に見いだされたが、お笑いと音楽の要素を併せ持ったピコ太郎は社内では傍流。大規模な制作費や広告費など付くはずもなかった。

 この状況からピコ太郎のたどった流れを追いながら、マネジメントチームが何を考えてヒットを生み出したのかを考えていこう。ただ、何の手掛かりもなしに現代のコンテンツビジネスの全体像を捉えるのは難しい。そこで今回は、MBAでも採用が拡大している「ビジネスモデルキャンバス」というフレームワーク(考え方の枠組み)を活用することにする。