DAY04 Xグループで起こっている問題の把握

【6/19の課題】

Xグループの業務プロセスにおける問題は何でしょうか。解決策ではなく、まずは発生している問題を整理してください。

[ケーススタディ]Xグループで起こっている問題とは何か?

 あなた(Aさん)は大学院卒業後、新卒でXグループに入社し現在、5年目である。大学時代は体育会系ラクロス部で全国大会にも出場したことがあり、物事をやり遂げる意思の強さと、チームを盛り立てるコミュニケーション力が売りである。飲み会も積極的に参加する。

 最初の配属は首都圏営業部で、店舗での販売員からエリア責任者までを務め、若手として優秀な成績を収めていたことが人事部の目に留まり、5年目の2019年4月に経営企画部へ異動してきたばかり。これまで営業として仕事に従事し、同世代よりもアパレルの知識、販売のスキルを身に着けてきた自負もあるが、経営企画の仕事は初めてであり、いわゆる外回りから内勤に変わったことによる働き方の変化にもやや戸惑っている。

 そんな中、昨今の働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目を集めていることを受けて、Xグループの更なる成長に向けて社長の指示で上司である経営企画部長と一緒に社内の業務効率化プロジェクトを立ち上げることになった。業務効率化プロジェクトでは30%の業務削減により、営業・海外へのリソース活用を目指す。

経営企画部長:Aさん、まずはAさん自身が全社の業務を理解するためにも、各部門の責任者や業務に詳しいキーパーソンから実態のヒアリングをしてきてくれないか。

Aさん:分かりました。今週、各部門を回ってきます。

ヒアリングの結果は以下の通りだった。

[働き方・業務プロセス]
人事部長:残業が多く、昨今の働き方改革の流れもあり人件費抑制のためにも残業を減らしたい気持ちはあります。しかし、人手不足でありむしろ全社的に残業が増加傾向にあることはやむを得ないと思う。

Aさん:確かに私も営業部時代に後輩や他部門の仕事も引き受けて自分が残業して終わらせてきました。人手が不足している今は一人ひとりの社員が多くの時間を働かざるを得ない状況かもしれませんね。

営業部長:会議が多いし、作成している資料も多く負荷がかかっているのは事実です。しかし、経営会議で役員から質問されて答えられないわけにもいかず、しっかり準備しようとすると、データの準備、補足説明用の資料、経営会議の前の各役員との事前のすり合わせや、部内の調整会議が増えるのは必然です。Aさんも営業部時代に心当たりがありますよね。

Aさん:そうですね、営業部時代の上司も大変そうでしたが、私も上司からデータ分析や資料作成を手伝わされて大変でした。約束していた飲み会も何度もドタキャンしてましたね。

経理部マネージャー:最近デジタル化が取り沙汰されていますが、わが社は店舗や本社内でも、急ぎは電話・FAXで、記録が必要なものは紙で情報共有しているため、あまり導入には向いていないのではないでしょうか。何か事故が起こったり、大きなミスが続いたりするようなら変えるべきですが、今は今でそれなりに業務は回っていると思います。

Aさん:確かに、私も営業部に居た頃に、決裁申請や経費申請を紙に印刷して部長に捺印してもらい、それをPDFにスキャンして経理部などにメール送付していました。紙で原本を回覧・保管することが会社のルールですし、役員クラスでも会議資料も紙が見やすいと言われたことがあります。

マーケティング部マネージャー:販売促進企画や商品開発でなく、月次で店舗や営業部別の実績集計をするのにExcelの計算に時間が取られていますが、全国120店舗の集計や入力ミスなどの修正依頼が必要なので時間が掛かるのは当然です。そのほか海外からの実績報告も受けていますが、フォーマットが違ったり、提出納期を遅延したりするので、本社と現地の間での調整にも時間を要します。マーケ部の海外担当が特に人員不足です。

 EC事業の立ち上げも中途半端になっています。店舗だけで売上が伸びないなら、他社と同じようにネット販売ももっと強化していかないといけないが、人も金も足りていないのが現状です。

 業務効率化も大事ですが、そんなことより、そもそも商品ラインナップを拡張していかないと、既存顧客にも飽きられてしまうし、新規顧客も取れない。Xグループの更なる成長のために新商品開発の費用と人材を投入したいが、経営企画部として支援してくれませんか。

Aさん:分かりました。部長に話しておきます。

物流部マネージャー:役割分担が曖昧で困っています。発注・返品対応を営業部がしたり物流部がしたり、在庫量の調整も営業部も物流部も責任を持っています。マーケティング部も売れ残りに対する口出しをしてきて面倒です。とくに欧米ブランドだけでなく中国系ブランドとの競争が激化し、在庫が増えてきています。在庫コストも廃棄コストもかかりますし。経営もこれを問題視していて、毎月の経営会議で在庫量の推移を提出させられ、各役員から物流部だけが責められて辛い状況です。物流部だけでは検討できなくなってきているので、今度、在庫管理方法の見直し・システム導入について、経営企画部にも相談させていただきたいと部長に伝えておいてほしい。

Aさん:分かりました。部長に話しておきます。

[人材]
人事部長:バブル世代のリタイヤが続き、これまで一子相伝で継承してきた販売・在庫管理のノウハウの引継ぎが難しくなってきています。実際、作業ミス・発注ミスがあり、想定外の損失も出ているようです。一方、新卒採用は大手・外資に人材が流れる傾向にあり、優秀な人材の確保に苦戦しています。この3年は採用募集人員数割れが続いていて、全社的に人手不足になっています。とくに営業部からは毎月のように人材補充を要求されている状況です。

Aさん:営業部のノルマは毎年上がっていますし、沢山売るために沢山の人材が必要ですよね。

[ヒント]
ビジネスアーキテクチャ(戦略・業務・組織/人・システム)、経営資源(人・物・金・情報)、7Sなどのフレームワークで考えると、広く・深く考え情報を整理しやすい。7Sとは、企業戦略における、幾つかの要素の相互関係をあらわしたもの。優れた企業では、各要素がお互いを補い、強め合いながら戦略の実行に向かっているとされる。ソフトの4Sである、1)Shared value (共通の価値観・理念)、2)Style(経営スタイル・社風)3)Staff(人材)、4)Skill(スキル・能力)とハードの3Sである、5)Strategy(戦略)、6)Structure(組織構造)、7)System(システム・制度)を指す

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