DAY01 Xグループを取り巻く環境分析
[ケーススタディー]Xグループの経営環境を分析せよ
Xグループは2019年度に創業40周年を迎える、年商1000億円、社員数4000人の国内有数のアパレル企業である。先代社長が絹糸の製造・販売で立ち上げた事業が、戦後の衣食住の発展とともにアパレル企業へと転換・発展してきた。
主力商品は20代~30代の男性・女性向けカジュアルブランドで、その他に、子供向けの服・靴も手掛け、一部法人向けのユニホームなどを取り扱っている。有名俳優やママタレントを活用したTVコマーシャルも打っている。首都圏を中心に全国都市部に展開する120店舗での販売だけでなく、最近はネット販売にも力を入れている。海外売上比率は9%と、日系競合他社と比べても低く、国内市場に収益基盤を頼っている。
国内市場ではZARA、H&Mなどの参入が相次いだ米国・欧州のブランドとの競争だけでなく、最近は中国・アジアの安価なブランドによる参入が相次ぎ、業界全体で競争が激化している。国内の競合ブランドの状況を整理したのが以下のグラフだ。売上高で比較するとAAA社の独り勝ちであり、Xグループの商品とも競合関係にある。

Xグループが製造拠点にしているタイ・インドネシア・マレーシアといったアジアでの人件費高騰、材料調達コストの上昇に見舞われている。
アベノミクス以降、日本経済の成長が続いていることで消費者の購買意欲は高まっているものの、国内アパレル市場全体ではマイナス成長となっている。
矢野経済研究所が2017年10月26日に公表した「アパレル産業白書2017」によると、2016年の国内アパレル総小売市場は前年比1.5%減の9兆2202億円だった。アパレル市場全体は縮小しているものの、チャネル別ではEC(電子商取引)の拡大基調が続いている。販売チャネル別の小売市場規模は、百貨店が同6.5%減の1兆9265億円、量販店は同7.2%減の8584億円、専門店は同0.4%増の4兆9826億円、その他(通販等)は同2.7%増の1兆4527億円。
アマゾンやZOZOTOWNなどのファッション通販、メルカリなどでの中古品の流通市場、airClosetなどによるファッションレンタル市場も確立されつつある。これは消費者ニーズ、購買行動の変化の表れでもある。
[課題のヒント]
たとえばPEST、5Forcesといった、何らかのフレームワークで考えると整理しやすい。