「自分の業務を自分で改革する」と失敗する

その成否を分けるものは。

安部氏:基本的に進め方の問題です。現場が主導して自分たちの業務を自分たちで改革しようというケース。これはほとんどうまくいきません。やはり自分のことを自分で抜本的に変えるのは難しい。今の仕事のやり方を是としてしまい、大きな変革が起こりにくい。だから先ほど言った「デジタルによる置き換え」が発生してしまう。

 全社視点でみないと、会社のルール自体は変えられない。業務プロセスを見直そうとすれば、内部統制のルールそのものを変えなければならない場合も出てくる。会議のルール、予算の作成プロセスなども現場の円滑な業務を阻害している場合がある。それらを一つの部署だけで変えることはできません。

 これは「トップダウン」か「ボトムアップ」かという問題ではありません。どの会社も経営主導で特別プロジェクトを立ち上げたり、経営企画部がリードしていたりする。つまり多くの企業ではトップダウンでプロジェクトがスタートします。しかし、改革の現場を見ると各部門が各部門を担当している。これではダメなんです。第三者が入る必要がある。これは我々のようなコンサルタントでなくても構わない。社内の別部署の人間でもいいので、現状を是とせずに全社視点で改革を進められるような人材が必要です。我々はそうした人材を「プロセスイノベーター」と呼んでいます。

 例えば経理で業務効率化を進めたとしましょう。そのノウハウや方法論を人事でも総務でもやる。3つくらいの部署を横断で改革していくと、共通している非効率の根源が見えてくる。その根源をプロセスイノベーターが全社に展開する。

プロセスイノベーターは社内でも育成できる?

安部氏:実際に我々の業務では社内での育成に力を入れています。企業側に伝えているのは、プロセスイノベーター候補は役職で言えば課長かそれ以下で、ある程度若く将来の幹部候補とされている方。周囲からも「あいつがやっているなら力を貸してあげよう」と信頼されている方。そうした人材と一緒にプロジェクトを進めると、必ずプロセスイノベーターとして育ちます。そして育った時に、我々のような外部コンサルタントは不要になる。

デジタル時代に若手社員が持たなければならない視点とは。

安部氏:企業が右肩上がりで成長し、単一事業だけでも売り上げが拡大した時代にあって求められていたのは、組織の中でのジェネラリストでありながら経験と知識をため込んでいける人材でした。今求められているのは、変革できる人材です。経験と知識は単なるインプットにすぎず、それを前提として本質を見極め、未来を創っていける人。本質とは、先ほど言ったような「なぜ何度も承認をしなければならないのか」といったことをきちんと疑い、その背景や理由を捉えること。そしてそれを理解し、次につなげること。覚えるのはロボットが得意ですが、未来を創るのは人間しかできない。

 デジタル化が進むほど、人間は二分化していくでしょう。ロボットに仕事を奪われる人か、最新のテクノロジーを身につけながら仕事を創っていく人。後者がどの企業でも求められています。

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