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5/15の課題

CaseStudy02で得た「気付き」を自由にコメントしてください。また、他の参加者の「気付き」に対して返信もお願いします。

5/16の課題

あなたがこれまで「なかなか思い通りにいかない経験を次に生かす」ために取った行動は何ですか?また、2つのケースを通じ、学ぶために必要な心構えをどう捉えましたか?

Raiseの新連載「若手社員100日養成塾」の開講です。1日1問の課題に向き合い、考える癖を付けましょう。アビームコンサルティング、エイベックス、AGC、キリンホールディングス、凸版印刷、日本生命、ライオンの7社が、毎日1問、100日で計100問の課題を出題し、各社の強みを伝授します。読者はコメント機能を使ってその議論に参加できます。営業力や発想力、ヒット商品の作り方──連載を通して、明日からビジネスの現場で使える知識や考え方を学びましょう。

初回は導入として、5月7日から5月16日までの約10日間で社会人としての心構えを学んでいきます。専門家は社会人1年目が身に付けるべき力が「この数年で激変した」と語ります。それはなぜなのか。そして具体的にどんな能力が求められているのか。課題に答えることで基礎を学んでいきましょう。

 「この研修、本当に意味があるんですか?」

 きっかけは意外にも社内の新入社員からの声だった。年間13万人に社員研修プログラムを提供するリクルートマネジメントソリューションズ(以下、リクルート)。業界最大手として知られる。同社のウリである研修プログラムを社内の新入社員向け研修で使用したところ、後日、新入社員から研修担当者にこんな声が届いた。

 ショックだったが、認めざるを得なかった。意見を受けて同社は3年前、新入社員向け研修プログラムをがらりと変えた。それまではマナーや営業のスキルなどを「社会人の基礎」として、座学などを通じて学ばせてきたが、そうした「知識」ばかりでは研修として不完全であることに気付いたからだ。

(写真:PIXTA)

「新入社員にとって、今が最も難しいビジネス環境になっている。不条理な世界と言ってもいい」。同社で研修プログラムの開発を担う桑原正義主任研究員は、この数年で起こっている若手ビジネスパーソンをめぐる環境の変化についてこう話す。

 ある大手IT企業の人事マネジャーも同様の感覚を持つ。同社は中途も含め年間100人程度を採用しているが、「新卒で入社した優秀な若手が思うように伸びない。辞めるわけではないが無気力で会社の中で自分を成長させようとしていないようだ。新入社員にとって厳しい環境の中、人事として手を打たなければならないと感じている」。

 厚生労働省によれば、大学卒の3年以内離職率は約3割でこの10年以上ほぼ横ばい。それでも上記のような発言が飛び出すのは、「あるギャップ」が拡大していることに原因がありそうだ。

 Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの言葉の頭文字をつなぎ合わせた造語である「VUCA」。現代の個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワードとして使用されている。変化が激しく不確実なVUCAの時代に、新入社員がこれまで育ってきた環境と、新社会人として生きる環境には大きなギャップがある。

 1つ目のギャップは「正解の有無」。ビジネスはより複雑でより不確実な要素が増え、「誰も答えを知らない」「誰も経験したことがない」ケースが圧倒的に多くなった。上司の経験ですら「正しい」とは言えない分かれ道が多く存在する。一方で新入社員は、学生時代に「答えがない問い」にぶつかった経験が少ない。これまでも同様のギャップはあったものの、VUCA時代にはそれが大きくなっている。

 2つ目のギャップは「支援の有無」。2010年代に始まった全国的な人手不足によって、ビジネスの現場に余裕がなくなった。オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で後輩の育成をするという、これまで当たり前だった社員育成が成り立たなくなりつつある。実際、2000年代後半には、大手自動車メーカーが「自社のOJTが全く機能しなくなった」としてリクルートに駆け込んだこともある。一方の学生。昨今の激しい大学間競争も一因となり、大学による過保護とも言える支援が実施される場合もある。保護されてきた環境から、急に「誰も助けてくれない世界」へーー。このギャップに戸惑う新人は少なくない。

 これら以外にも、価値観のギャップなど埋めなければならない要素は様々に存在する。これらのギャップは「社会人としてのマナー」を学んだところで埋まるものではない。

 では、どんな力を養うべきなのか。リクルートが社員の声から状況の変化に気付き、3年前に導入した「トライ&ラーン」と呼ばれるコンセプトにヒントがある。下の図をもとに簡単に説明しよう。

 まず「Focus」。相手の期待や仕事の目的を具体化する。与えられた指示の目的は何かを理解し、要求を具体化。進め方や報告のタイミングを確認する。自分の想像で目的を決めるのではなく、「理解」「具体化」「確認」のフローを進めることだ。

 次いで「Action」。思い切って行動に移すこと。今できることやさらなる工夫を考えながら試行錯誤し、経過報告や上司・周囲への相談を挟みながらとにかく行動する。

 最後に「Reflection」。Actionによって得た経験を次に生かす。なぜ成功/失敗したのか。その要因を明らかにするとともに、相手にフィードバックを求める。指摘の意図を理解し、次のFocusにつなげていく。

 「若手社員100日養成塾」の第1弾は、導入編としてこの考え方をケーススタディーを通じて学んでいく。次ページ以降に2つのケーススタディーを用意した。このケースをもとに、毎日1問ずつ課題を提示する。コメント欄で議論に参加してほしい。