人生100年時代。ビジネスパーソンが「現役」として働き続ける時間はかつてよりも、ぐんと長くなっている。テクノロジーの進化や社会の劇的な変化、終身雇用と年功序列の崩壊に伴い、私たちはこの先、「同じ仕事だけを続けていく」ことが難しくなる。
その難しさを解消するのが「プロティアン・キャリア」だ。プロティアンとは、ギリシャ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神・プロテウスのこと。そこから転じて、「プロティアン・キャリア」とは社会や職場の変化に応じて柔軟にキャリアを変えていく、言い換えれば「変幻自在なキャリア」を意味する。そんな働き方ができれば、どんなに社会環境が変わろうとあなたは生き生きと「現役」を続けられる。
そんな「プロティアン・キャリア」を形成するための理論をまとめたのが『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP)。人生100年時代、どんな環境になったとしても生き生きと働き続けるために、私たちはいまどんなキャリアを形成していくべきなのか。
今回はこの夏、ほぼ同じタイミングで「これからのキャリア」をテーマにした本『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(扶桑社)を発売した著者のmotoさんをタナケンゼミに招待。次世代のキャリア構築術について、motoさんとタナケン先生が対談した。本記事では対談の前編を掲載する(後編は明日8月30日公開予定)。

この夏、ほぼ同じタイミングで「次世代の働き方」をテーマにした本が2冊、発売されました。ともに新しい時代のキャリア構築術について書かれたもので、motoさんはご自身の経験から、タナケン先生はキャリア論のアプローチから解説しています。そもそもなぜこのタイミングで、新しいキャリアについての本を出そうと考えたのでしょう。
moto氏(以下、moto):僕の場合は、時代背景ですね。終身雇用が終わりつつあるということを、大企業のトップが口にするようになり、副業解禁や通年採用など、働く環境における変化が徐々に広がってきています。
また、働く環境の変化だけでなく「公的年金以外で老後に2000万円が必要だ」というニュースも話題になったため、キャリアだけでなく、ライフプランにおいても将来を不安視する人が増えているように思います。
こうした背景もあって、僕のSNSやブログ(「転職アンテナ」)などに、「この先のキャリアをどう構築すればいいか」という相談が増えてきたので、これまでの僕の考え方や生きてきた過程を体系的にまとめた本を出すことにしました。
田中氏(以下、田中):具体的には、どんな悩みが寄せられていたんですか。
moto:就活生や若手のビジネスパーソンから「将来のキャリア」や「お金」に関する相談が多くありました。最初に働く会社はどこがいいのか、とか、大手とベンチャーどちらにいくのが正解か、とか。
中でも、戦後の大企業神話が崩壊しつつある中で、これから社会に出る学生にとって、大企業に就職するのが得策なのか?という疑問は多いです。ベンチャーで働く手もあるけれど、それは金銭的にも将来的にも不安な気がする。そう悩む学生から「ファーストキャリアはどうしたらいいですか」といった相談が来ています。
あとは転職で年収を上げたいという相談です。お金を稼ぎたいけれど、どういうふうにすればいいのか、などが多くありました。こうした相談に、僕なりの答えを出したのが本書です。