最後の3つ目は、経済資本だ。これは言い換えれば金銭や財産のこと。
もちろん、これを蓄積することも大切ではあるが、注意しなければならないのは、この経済資本が働く目的になると本末転倒である、ということだ。経済資本は目的ではなく、ビジネス資本と社会関係資本をためるための手段として活用していく。そう考えて働かないと、変幻自在なプロティアン・キャリアを構築することはできない。
ビジネス資本と社会関係資本をためた人はどこでもいける。けれど経済資本だけしかたまっていない人は、それをビジネス資本や社会関係資本へ転換していくことが難しい。
こうしたキャリア資本を理解した上で大切になるのが、「どんな資本をためるか」ということだ。
ためた資本が、もし誰でも持っているようなものであれば、その資本はあまり価値はない。価値のある資本を構築するには、ほかの人とは異なる挑戦をしなければならない。それがプロティアン・キャリアを構築するためのカギなのだ。
もう、会社にキャリアを預けてはいけない
終身雇用は崩壊し、これからの日本社会では、70歳を超えても働き続けなくてはなりません。そのためには、一人ひとりが独立した立場で、キャリアについて考えることが求められる。
この時、「キャリア資本論」という考え方ができるかどうかは、今後の人生で大きな分岐点になるはずだ。いかに戦略的にキャリアの資本を蓄積して、それを転換していくか。これが曖昧なままでは、精緻なキャリアプランを描くことが難しくなる。
そのためにもまずは現時点で、自分のキャリア資本を書き出してみること。そこからスタートしてみよう。
上のような表に書き込んでいってはどうだろうか。
あなたには今、何がたまっていて、何が足りないのか。
今後、何をどうやって、どのくらいの期間で貯めていくのか。
手を動かして整理していくだけでも、ぼんやりとしていたあなたのキャリアの輪郭が、クリアに見えてくるはずだ。
もうキャリアは、会社や組織に任せるものではない。自分で創造することが求められる時代なのだ。そして変幻自在なキャリアを構築できれば、きっとあなたの人生は豊かになるだろう。