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バランスシートで見るプロティアン・キャリア資本

 具体的なイメージを想起させるために、ここでは企業経営のバランスシートとして用いられている貸借対照表を、プロティアン・キャリア資本に理念的に適応させてみます。

貸借対照表
資産負債
資本

キャリア資本表
有形資産負債
無形資産資本

プロティアン・キャリア資本表
有形資産(投資)負債
文化資本
無形資産
(生産性資産)
(活力資産)
(変身資産)
社会関係資本
経済資本
(2019 著者作成)

 このように整理すると、有形資産と無形資産からなる個人資産を、いかに戦略的に投資し、その過程で文化資本、社会関係資本を蓄積していくかを考えることができます。その上で、経済資本の蓄積も考慮していくのです。

 バランスシートに落とし込んでみると、あなたの資産では何が満たされていて、何が足りないでしょうか。

 組織ではなく、個人がキャリアを管理するということは、個人がキャリアを戦略的にマネジメントしていくことでもあります。

 例えば転職する時の判断基準として、転職先の企業でいかなる文化資本や社会関係資本を蓄積することができるのか。それはこれまで蓄積してきた資本からみて、戦略的な(自己)投資だと言えるのか。

 『The Career is Dead』――。これは、1996年にダグラス・ホール教授が出版した書籍のタイトルです。

 「キャリアは死んだ」。このタイトルには、従来のようなキャリアはなくなって、これから先は異なるキャリアを模索する必要がある、という思いが込められています。

 「プロティアン・キャリア」とは、私たちのキャリアを組織から取り戻して、それぞれが育てていく営みとも言えるのです。だからこそ、心理的成功と稼ぎ、この2つをしっかりと獲得できるように、戦略的かつ長期的に、あなたのキャリアをプランニングしていくことが必要なのです。

 では具体的にどうすればいいのか。次回は、「プロティアン・キャリア」を6つのモデルに分類して、詳細に検証していきたいと思います。