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議論のテーマ
 誰しも経験のある「ムダな会議」。そこできっちりと自分を成長させる方法を共有しましょう。

 人生100年時代。ビジネスパーソンが「現役」として働き続ける時間はかつてよりも、ぐんと長くなっている。テクノロジーの進化や社会の劇的な変化、終身雇用と年功序列の崩壊に伴い、私たちはこの先、「同じ仕事だけを続けていく」ことが難しくなる。

 それを解消するのが「プロティアン・キャリア」だ。「プロティアン」とは、ギリシャ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神・プロテウスのこと。そこから転じて、「プロティアン・キャリア」とは社会や職場の変化に応じて柔軟にキャリアを変えていく、言い換えれば「変幻自在なキャリア」を意味する。そんな働き方ができれば、どんなに社会環境が変わろうとあなたは生き生きと「現役」を続けられる。

 では、いかにプロティアン・キャリアを構築するのか。法政大学のキャリアデザイン学部のタナケン先生こと田中研之輔教授が、皆さんと一緒に「プロティアン・キャリア」の実践方法を探っていく。

 連載3回目で取り上げるのは、ビジネスパーソンならば避けては通れない「会議」です。それもムダな会議で、いかにプロティアン人材として自分の成長を促すかという方法について解説しています。皆さんも、時間ばかりが過ぎて成果のない会議にうんざりした経験があるはずです。会社にあふれるダメダメ会議を、参加者たちの成長を促すような「プロティアン会議」に変える方法をお伝えします。ぜひ、皆さんもダメダメ会議の有効な過ごし方を教えてください。

法政大学のキャリアデザイン学部のタナケン先生こと、田中研之輔教授が「プロティアン・キャリア」の実践方法を伝授する(写真/竹井 俊晴、ほかも同じ)

 こんにちは、タナケンゼミは第3回になりました。皆さんから、コメントや疑問などをたくさん寄せられるようになり、盛り上がってきましたね。

 今回はまず、前回の記事(「『会社の中だけ』でスキルを磨いて定年まで生き残れるか」)でいただいた質問に回答することからスタートしたいと思います。

 質問は、そもそも「キャリア」と「スキル」の定義の違いは何かということでした。ここから整理していきましょう。

 私がこのゼミで使っている「キャリア」とは、「何らかの継続経験」を通じて「能力」を蓄積していく「過程」、として定義しています。その点では、「キャリア=職業経験」と狭義に捉えているわけではなく、職業経験のほかにも様々なライフイベントなども含んだ時間的な経過、個々人の歴史性を含む、広義の意味で、「キャリア」という言葉を使っています。

 そのため「キャリア」と「スキル」では意味が異なります。「キャリア」のある段階で習得されるのが「スキル」だと認識していただけると分かりやすいはずです。つまり広義の「キャリア」の中で、技能として形成されるものが「スキル」なのです。

 タナケンゼミの第1回(「あなたは変幻自在にキャリアを作る『土台』があるか」)と第2回(「『会社の中だけ』でスキルを磨いて定年まで生き残れるか」)では、「プロティアン・キャリア」の考え方について概説し、皆さんと議論を重ねてきました。今回以降は、プロティアン・キャリアをいかに実践していくかについて、一緒に考えていきましょう。

 まず、復習です。

 「プロティアン・キャリア」とは、社会変化や職場のニーズにあわせて、自己変幻させていく生き方や働き方の構えのことでした。そしてこの「プロティアン・キャリア」の考え方の革新性は、これまでのキャリアの捉え方から視点をシフトさせたことにあります。

 従来のキャリア論は、組織の中での昇進や昇格、評価などに焦点を当てる組織内キャリア論が主流でしたが、プロティアン・キャリア論では、キャリアの捉え方を組織から個人へと大きく転換させています。

 しかし、ここで勘違いしやすいポイントがあります。「プロティアン・キャリア」は、「自分が良ければ、それでいい」という独りよがりなキャリア論であると誤解してしまう人が、意外と多いのです。どういうことか、解説していきましょう。