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議論のテーマ
「組織内のキャリア」(会社の中だけで通用するキャリア)を磨いていけば、この先も、定年まで生き残れると思いますか。

 人生100年時代。ビジネスパーソンが「現役」として働き続ける時間はかつてよりも、ぐんと長くなっている。テクノロジーの進化や社会の劇的な変化、終身雇用と年功序列の崩壊に伴い、私たちはこの先、「同じ仕事だけを続けていく」ことが難しくなる。

 それを解消するのが「プロティアン・キャリア」だ。「プロティアン」とは、ギリシャ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神・プロテウスのこと。そこから転じて、「プロティアン・キャリア」とは社会や職場の変化に応じて柔軟にキャリアを変えていく、言い換えれば「変幻自在なキャリア」を意味する。そんな働き方ができれば、どんなに社会環境が変わろうとあなたは生き生きと「現役」を続けられる。

 では、いかに「プロティアン・キャリア」を構築するのか。法政大学のキャリアデザイン学部のタナケン先生こと田中研之輔教授が、皆さんと一緒に「プロティアン・キャリア」の実践方法を探っていく。

 連載2回目はなぜ今、日本の企業社会で「プロティアン・キャリア」が注目されているのかという背景について解説します。「一体、いつまで“鵜(う)飼いの鵜”をやり続けるのか」。そんな厳しい言葉にあなたはどう答えますか。ぜひ、ご意見を書き込んでください。

法政大学のキャリアデザイン学部のタナケン先生こと、田中研之輔教授が「プロティアン・キャリア」の実践方法を伝授する(写真/竹井 俊晴、ほかも同じ)

 仕事が面白くない。やりたい仕事をやらせてもらえない。そして、業績も伸びない。
 上司とうまくいかない。同僚や後輩とも思うようなチームワークがつくれない。
 自分なりに頑張って仕事をしているのに評価してもらえない。
 春。爛漫(らんまん)に咲きほこる桜を眺めても、なんだか気持ちが晴れない。

 そんなビジネスパーソンもいるはずだ。仕事の内容や人間関係、評価などの問題は、誰しも直面する不満なのではないでしょうか。

 そこで第2回目のタナケンゼミではまず、職場で抱くこうした不満や不安と向き合う方法から考えていきましょう。第1回でも簡単に紹介した「プロティアン・キャリア」の考え方を通して、対処策を提示したいと思います。

 連載第1回(「あなたは変幻自在にキャリアを作る『土台』があるか」)でも述べたように、「プロティアン・キャリア」とは、社会変化に対応して自己変容して成長していくキャリアのこと。

 「プロティアン・キャリア」を構築するために、あなたは目の前の不満とどう向き合えばいいのでしょうか。

 結論から言うと、与えられた仕事の内容や職場での人間関係、上司などの評価については、あなた1人では何ともなりません。まずは、この事実を受け止めることからスタートする必要があるのです。

 どんなに不満や不平を抱いていて、何とか改善しようとしても、世の中にはあなた1人の力では、どうにも変えられないことがあります。そこを無理やり改善しようとして疲弊するよりは、むしろ目線を自分自身に向けて、じっくりとキャリアを形成していく方が、結果的にはあなたが職場で抱く不満は軽減されるはずです。

 そして、それは同時に、人生100年時代を生き抜く上で欠かすことのできない「変化への適応と戦略」について見識を深めていくプロセスともいえます。

 では、あなた自身を見つめた上で、それをどのように「プロティアン・キャリア」につなげていくのか。説明していきましょう。