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議論のテーマ
 変化に応じて変幻自在に変わる「プロティアン・キャリア」。長く働き続けるための必須スキルだが、「プロティアン・キャリア」について、あなたは何が知りたいですか。

 人生100年時代。ビジネスパーソンが「現役」として働き続ける時間はぐんと長くなる。テクノロジーの進化や社会環境の劇的な変化、終身雇用や年功序列の崩壊に伴い、私たちはこの先、「今までと同じような仕事だけで稼いでいく」ことが難しくなる。
 読者の中には、若い頃と同じように働き続けた結果、40代に入った頃から何となく職場で居心地の悪さを感じている人もいるのではないだろうか。また早期退職制度を活用して、50代で別の業界に転じた同僚を横目に「このまま職場に残り続けていいのか」と悩む人もいるだろう。仕事の変化に対応できず、将来に対する不安を抱る人もいるはずだ。
 そんな悩みを解決するのが「プロティアン・キャリア」だ。「プロティアン」とはギリシア神話にある、思いのままに姿を変える神・プロテウスのこと。そして「プロティアン・キャリア」とは社会や職場の変化に応じて、柔軟に仕事や働き方を変えていく「変幻自在なキャリア」を意味する。柔軟に変わることができればこの先、どんなに変化に襲われようと、あなたは生き生きと働き続けることができる。
 では、いかにプロティアン・キャリアを構築するのか。法政大学キャリアデザイン学部のタナケン先生こと田中研之輔教授が、読者の皆さんとの議論を重ねながら「プロティアン・キャリア」の実践方法を探っていく。
 連載1回はプロティアン・キャリアについての簡単に紹介します。同時にあなたに今「プロティアン・キャリア」を構築できる「土台」があるのかもチェックできるようにしています。まずは、ざっと目を通してみてください。そしてあなたが今、「プロティアン・キャリア」について知りたいことを教えてください。

法政大学のキャリアデザイン学部のタナケン先生こと、田中研之輔教授が、これから「プロティアン・キャリア」の実践方法を伝授する

 はじめまして。法政大学のキャリアデザイン学部教授の田中研之輔です。

 「キャリアデザイン」という学部名の通り、私は大学では、人生100年時代を豊かに過ごしてくための、「生き方」や「働き方」について、理論や経験を交えながら、教えています。

 最近では、就職活動を控えた大学生に向けて、長期インターンでの経験を、大学での学びに接合させていく方法について教えています。またビジネスパーソンに向けては、新人研修やキャリア開発を機会にして、個人がいかにキャリアを形成していくかということをレクチャーしています。

 多くの学生、ビジネスパーソンとコミュニケーションを重ねる中で、特に最近、痛感しているのが、ビジネスキャリアにおいて、多くの人が「これまでの働き方は通用しない」ということを肌身で感じている、ということです。そして誰もが漠然とした不安を感じている。

 人生100年時代。70代まで働き続けるとして、どこまで「現役」として活躍できるのか。今まで培ってきたスキルはこれから先も通用するのか。

 「若い頃と同じように働き続けてきたけれど、40代に入った頃から、職場で居心地が悪い。求められる役割が変わったのに、どうしても自分はうまく変われない」

 「50歳を過ぎた頃から、早期退職制度を活用して、同僚が続々と異業種に挑戦している。自分だけ、このまま会社にしがみついてもいいのか、不安になる」

 最近では、そんな悩みを打ち明けられることも増えました。

 これからも、社会環境は劇的に変わっていきます。それに伴って、仕事の内容も働き方も、大きく変化していくでしょう。そんな中、私たちにできることといえば、その変化にどう向き合うのかを考え抜いて、行動に移すことだけです。そして、その大きな助けとなる視点が「PROTEAN(プロティアン)」なのです。

 では、この「プロティアン」とは何のことでしょうか。