なぜリクルートで事業化する必要があるのか

なぜこの事業をリクルートでやらなければならないのですか?

入澤氏:リクルートは、様々なサービスを生み出すことで「文化」を作ってきた会社だと捉えています。私も、このサービスで「妊活は2人でするものだ」という文化を作りたい。

 リクルートは会社自体のブランドも強く、発信力もある。今まで文化を作ってきた会社だからこそ、男性も不妊治療に積極的に関われるよう啓発していかなければならないと考えています。

そもそもリクルートは、ヘルスケア以外も含めてハードウエアを作って売った経験があったのですか?

入澤氏:ありませんでした。もちろん上層部からは既存事業との関連性を検討するよう指示はありました。ただ、この分野はこれまでリクルートが扱ってきた情報とは質が違うんです。プライベートでかなりセンシティブな分野なので、あえてそこは切り離したほうがいいという提案をしました。紐付けるのであれば、ユーザーからの反応を得ながら、Seemを軸にヘルスケア事業として広げて行くと。

 事業開始当時は既存事業とのシナジーというのは論点にしないことを初めに確認して、事業を進めました。

 製造に関しては、私が仕様書を書いてそれをパートナーのメーカーに製作してもらうという役割です。試作して失敗して改善して……という繰り返しでした。

ハードウエアを売ったことがないということは、自社で販路も持っていませんよね?

入澤氏:はい。ただ最近はアマゾンなどのECサイトが発達しているので、「販路を持たない」という課題はそこまで大きいものではありません。まずはアマゾンで直接、消費者に届け、段階を追って販路を増やすことができます。

在庫管理は?

入澤氏:幸運にも、発売した当時の私の所属部署の本部長が食品メーカー出身で、在庫管理については多くのヒントをもらいました。「数カ月でこれくらいあれば十分だ」という具体的なアドバイスをもらえたんです。

 テストマーケティングで価格の調査もして、需要は予想より大きいということも確認できました。発売は2016年11月。毎年3〜4倍で販売数が伸び続けている状況です。「発売数年以内で単年度黒字化」という社内ルールがあるので、そこは最低限達成しながら認知を広げていこうと考えています。