男性は「2年間何もしない」

正式に会社から承認を得たのはどの段階ですか?

入澤氏:実際にプロトタイプを作ってくれるメーカーと、サポートしてくれる先生が見つかってからですね。実際に作れるかは分かりませんでしたが、挑戦できる環境が整った段階です。

では試作費として会社に申請したんですね。数百万の単位でしょうか?

入澤氏:具体的な金額は外に出していませんが、その程度です。「不妊に対して男性が積極的に関われていない」という問題点に共感してくれた幹部がいて、試作費ということで通してくれました。

その問題点を具体的に教えてください。

入澤氏:日本では不妊について心配したことがある夫婦は3割以上います。実際に不妊の検査や治療を受けた経験のある夫婦は6組に1組という程度。大きな課題は、初めに行動に移すのは女性ばかりだという点です。

 そもそも「不妊は女性の問題だ」と誤解していたり、根拠なく「自分は大丈夫だ」と考えていたりする男性が多いんですね。それで自分は行動に移さない。

 ただし実際に不妊の原因をみてみると、男性のみに問題があったのが4分の1、男女両方に問題があったのが4分の1で、少なくない割合で男性が不妊の原因のケースが存在する。

 妊活から不妊治療までの流れをざっと説明すると、まず女性が自宅で基礎体温を測ったり排卵日を検査したりする「自己流妊活」が1年ほど続きます。その1年で妊娠しないと、女性は婦人科を受診して排卵のタイミングを詳しく調べ、半年ほど妊活を続けます。この間、ほとんどの男性は何もしません。

 それでも妊娠しない場合、人工授精というステップに進みます。この段階に進んで初めて男性は病院で精液の検査を受けます。このタイミングで男性側に問題があった場合、それまでの費用と、そして2年弱という時間は無駄だったということになる。

 この2年という期間がすごく重要なんです。

 年齢とともに女性の妊娠しやすさは確実に低下します。少子化の原因には様々な要素がありますが、晩婚化もその一つだと言われています。だからこそ、2年という貴重な時間を無駄にしてほしくない。

 我々がSeemで実現したいのは、妊活初期の段階で男性もセルフチェックをして、不安がある場合は泌尿器科を受診するという流れを作ること。男性がすぐに病院で検査を受けるのはハードルが高いと思うので、まず自宅で検査してほしい。Seemなら専門キットに精子をセットし、スマホのカメラとアプリを使って1〜2分で結果が出ます。

Seemのキットは税込4980円。アマゾンなどのECサイトで購入できる。スマホのカメラとアプリを使って、精子の濃度と運動率を計測し、基準値との比較ができる(写真:竹井俊晴)
Seemのキットは税込4980円。アマゾンなどのECサイトで購入できる。スマホのカメラとアプリを使って、精子の濃度と運動率を計測し、基準値との比較ができる(写真:竹井俊晴)

 精子の状態は改善できる場合があります。ストレスや栄養状態など、男性不妊の専門家のアドバイスを得ることが重要なんです。

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