「ARパックマン」で遊べる日も近い?

入山:そして齊藤さんは、みずほ銀行産業調査部のアナリストですね。

<span class="fontBold">齊藤昌幸(さいとう・まさゆき)</span><br> みずほ銀行産業調査部調査役<br>2010年にみずほ銀行入行。みずほ証券アドバイザリー第六部、みずほ銀行東京法人営業部などを経て、2019年から現職。ゲームのほか、アニメなどのコンテンツ産業や広告などのメディア業界を担当する。(写真:陶山 勉)
齊藤昌幸(さいとう・まさゆき)
みずほ銀行産業調査部調査役
2010年にみずほ銀行入行。みずほ証券アドバイザリー第六部、みずほ銀行東京法人営業部などを経て、2019年から現職。ゲームのほか、アニメなどのコンテンツ産業や広告などのメディア業界を担当する。(写真:陶山 勉)

齊藤昌幸・みずほ銀行産業調査部調査役(以下、齊藤):はい。広くメディア業界を担当させていただいています。ゲームのほかにアニメなどのコンテンツ産業や、広告代理店、テレビ局なども担当しています。

入山:では、ここからゲーム業界についてあれこれお聞きしていきます。いきなりですが、金野さん、今のゲーム業界のトレンドって何でしょうか。

金野:総論みたいな話になっちゃいますけど、かつては「ゲーム『を』遊ぶ」だったのが、今は「ゲーム『で』遊ぶ」に変わっていますね。ゲーム「を」じゃなくて、ゲーム「で」遊ぶ。

入山:どういうことですか?

金野:例えば「eスポーツ」をイメージすると分かりやすいと思います。今までは、ユーザーがゲームを遊ぶことに価値があったのですが、最近は、ゲームを遊ぶことを超えて、その周辺にいろいろと価値が出てきているのです。

入山:なるほど。「eスポーツ」でいうと、見て楽しむという側面が出てきている。見ることにも価値が出てきていますね。これは、ゲームを手段として使っているということですね。

金野:そうです。例えば、最近ではゲームの実況を動画で配信しているユーザーもいます。ゲームを遊ぶこと自体ではなく、その周辺に価値が出てきたというのが最近のトレンドだと思います。

入山:なるほど。僕がこの前出演したテレビ番組でも、「ゲームで遊ぶ」例になるものを紹介していました。東京の筑波大学附属高校が、体育の授業にスマホのARゲームを取り入れ始めているというんです。その授業では、生徒たちは走り回りながらスマホをかざして、そこでバーチャルにボールを打ち合ったり、取り合ったりしているんです。

齊藤:「HADO」(※1)のような感じですね。

(編集部注※1)「HADO」:ユーザーが体にヘッドマウントディスプレーやアームセンサーを装着して技を放つ、AR技術を使ったスポーツ。

入山:そう、「HADO」のようなゲーム。見ていると、ちょっとシュールなんですけれどね。みんなスマホを持って走り回っているから。でも、結構いい運動になるということで体育の授業に取り込み始めた。金野さんがおっしゃっているのはそういうことですね。

金野:おっしゃる通りです。バンダイナムコも実験で、スマホを持って遊ぶ「パックマン」みたいなものを作ったりしています。

入山:スマホで「パックマン」? それ、いいですね! 廊下の向こうからモンスターがやってきたりするわけですね。

安田:自分で動きながらエサをパクパク食べていくと。

金野:はい。位置情報と連動してご当地アイテムを出すといったゲームを、イベント会場などで提供させていただいたりしています。

入山:それ欲しいですね。僕、テレビゲーム創生期には「パックマン」、相当ハマってました。「ARパックマン」、やりたいです。絶対売れますよ。発売しないんですか?

金野:今、実験中ですね。

入山:実験中か~。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)

金野:それから、野球ゲームの「ファミスタ」なども実験しました。スマホを見ながら、バットの代わりにバンドを手首に付けて振って、ボールを打っているようにするとか……。

安田:なるほど。

金野:いろいろな遊び方がつくれるという気がしています。

入山:面白い。「ARパックマン」、いいですね。やりたい。

次ページ ゲームの境界は“溶け”始めた