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 「あの業界、今、どうなの?」「競争環境が厳しくなるけれど、今後は大丈夫なの?」――。就活中の大学生やビジネスパーソン、経営者にとって、未知の業界の内情は大きな関心事だ。そこで、日経ビジネスがスタートしたのが連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。

 経営学者の入山章栄氏と経済学者の安田洋祐氏が、それぞれの業界の関係者や業界をよく知るゲストを招き、都合のいい話も都合の悪い話も、ざっくばらんに議論し尽くす。読者からのコメントも積極的に取り入れ、業界を深掘りしていく。ウェブと同時に音声でも情報を提供。現場で繰り広げられる熱のこもった議論をリアルに味わえる仕掛けとする。

 第5シリーズ(File 5)では、ゲーム業界を取り上げる。スマートフォン用ゲームの登場やAR(拡張現実)など新技術の活用で、より広く深くユーザーに浸透しつつあるゲーム。ゲスト2人を交えて、ゲーム業界の課題と可能性について議論し合う。ゲームと、ほかのコンテンツや玩具との境界が“溶けて”融合しつつある中、バンダイナムコが実験中の「ARパックマン」構想が明らかに。MC2人のボルテージは一気に上がった。

(取材・編集=小林佳代)

入山:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、早速ですが、第5回シリーズを始めていきましょう。早いもので、連載を始めてこれで5業界目となります。今回はちょっと仕掛けが違いますね。

安田:そうなんです。これまでこのシリーズ、動画とテキストを配信していたんですけれども、今回は動画ではなくて音声を配信する試みをしています。

入山:「日経ビジネス電子版」の読者の方の中には、動画を見るよりも音声を聞くほうが都合がいいという方も多いんじゃないかと考えて、今回は音でやってみようということになりました。

安田:そして、今回取り上げる業界は何かというと……。

入山:大注目のゲーム業界です。僕も安田さんもゲーム世代。安田さん、ゲーマーでしょ?

安田:ええ。ゲーム理論の専門家は、業界内で“ゲーマー”と呼ばれているんですけど、僕は経済学(のゲーム理論)のゲーマーと、ゲーム好きという意味のゲーマーと、二重のゲーマーであることをアイデンティティーにしていまして(笑)。

入山:今日、特に気合い入ってるよね(笑)。僕もゲームは大好きで、すごく興味があります。読者の方も同じだと思います。質問もたくさん届いています。

安田:わずか2日間で30件近くの質問をお寄せいただきました。そして今日、我々がお伺いしているのはバンダイナムコエンターテインメントの本社が入るバンダイナムコ未来研究所です。

入山:はい。ゲストはバンダイナムコエンターテインメント取締役の金野徹さん、そしてみずほ銀行産業調査部テレコム・メディア・テクノロジーチーム調査役の齊藤昌幸さんです。

金野齊藤:よろしくお願いします。

入山:金野さんは取締役でNE事業部担当兼NE事業部長ということですが、この「NE事業」って何をやっているところなんですか。

金野 徹(こんの・とおる)
バンダイナムコエンターテインメント取締役NE事業部担当兼NE事業部長
1995年バンダイ入社。バンダイナムコエンターテインメントNE事業部マーケティングディビジョンディビジョンマネージャーなどを経て2018年4月から現職。(写真:陶山 勉)

金野徹・バンダイナムコエンターテインメント取締役(以下、金野):NEは「ネットワークエンターテインメント」の頭文字で、主にスマートフォンのアプリゲームなどを手掛けています。今、ほぼすべてのゲームはネットワークに対応していますので、ネットワークエンターテインメントってすごく広い概念になるんですけれども、家庭用ゲームのように完成された機器で遊んでいただくというよりは、運営型のゲームで遊んでいただくものととらえればいいかと思います。

安田:「運営型のゲーム」ですか。運営といえば、バンダイナムコは「ナンジャタウン」やゲームセンターなど、リアルな施設もたくさん展開しています。

金野:そうですね。NE事業部のゲームの責任者の中には、以前アミューズメント施設の店長を務めていた社員もいます。施設での運営ノウハウには、ネットワークエンターテインメントに通ずるものがあります。そういうノウハウを集結して、幅広くコンテンツ提供させていただいています。