小売りには人間のぬくもりが必要

入山:必要最低限なインフラとしての機能を果たすことに関しては無人店舗で工夫するけれども、それ以外のところは、コミュニケーションの場とすることが大事だと。お2人とも強調されていますが、小売りには人間のぬくもりみたいなものが必要ということですね。

宮﨑:それがないと便利さだけではEコマースに負けてしまいますからね。

荒井:僕の家の近くにローソンがあるんですが、行くのが楽しみになっています。ごく普通のローソン店舗なんですが、「今週のお薦め」と書いた商品が幾つか山盛りになっていたりして、行くたびにオーナーさんと対話しているような感覚になります。

 コンビニというのは、「いつ行っても必ず決まったものがある」安心感と、プラス、驚きがなくちゃいけない。その驚きはオーナーさんの個性や地域性によっても異なります。そういう店の特色を打ち出すことが大事だと思っています。それにはデジタル技術を活用し、今、非常に忙しい店舗オペレーションを簡素化すること、そして一丁目一番地としては良い商品をつくること。これが重要だと思います。

入山:デジタルで面倒くさいところは全部取っ払ってあげる。その代わりにオーナーさんの創意工夫をもっと引き出すような仕組みを目指す。少なくとも、ローソンはそれを志向しているということですね。

 人のぬくもりでECと差別化を図っていくというのはよくわかったんですけど、一方で、リアル店舗でいうとドラッグストアも脅威になってきたという気がします。ドラッグストアとコンビニって、ちょっと機能がかぶってきているという印象があって。どういうふうにすみ分けていこうと考えていますか。

宮﨑:ドラッグストアは非常に脅威ですね。ローソンでも220店舗ほどで薬を販売しています。お客様には大変好評ですが、やはりいろいろと規制があるので簡単に増やすことはできません。先ほど申し上げた医薬品や健康関連グッズの販売に関してドラッグストアは一歩も二歩もリードしている存在です。

 我々は病院などとコラボレーションしながら、いかにお客様のニーズにきめ細かく対応していくかがカギです。その辺りはドラッグストアとの知恵比べになっていくのだろうと思います。最近はドラッグストアも多くの食品を売り始めていますし、お客様の支持を獲得するには良い商品をつくることが一番ですが、その点、コンビニの45年の歴史で培ったノウハウは大きな武器だと思います。

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