「ローソンは無人店舗はやりません」

安田:コンビニのサービスの幅が広がり、ある意味では「何でも屋」になっていくという形ですね。そのためにテクノロジーの活用も抜本的に進めていくと。その1つの形が無人化だと思います。読者の「mino」さんから、「無人コンビニの問題点は何ですか。実証店舗などは存在しないのですか」という質問をいただいています。無人化、省人化に向けた取り組みについてお話しいただけますか。

宮﨑:今の小売業には効率化が求められていて、その行き着く先の1つに無人化があると思うんですが、結論から申し上げると、うちは無人店舗はやりません。

入山:あ、やらないんですね。

宮﨑:それは先ほど申し上げたコミュニケーションの問題からです。ローソンは中国に2300店舗出店しています。ローソンの周りには中国国内のIT企業が手がけるいろいろな無人店舗がありました。しかし、大きな自動販売機や、冷蔵庫みたいなものですが、お客様から支持を得られず、現在では結構閉店しています。

入山:無人店舗にはお客さんが来ないんですか。

宮﨑:経験してみるとわかりますが、無人店舗って楽しみがないんです。買い物にはやはり楽しさがなくちゃいけないということでしょう。ちょっと無機質すぎるんです。

 ただし、今の人手不足に早急に対応するため、ローソンは8月より、深夜0時から早朝5時までの5時間、店員がいない深夜省人化店舗を実験しています。お客様に支持されるのか、深夜の無人のお店にお客様は来ていただけるのかといった懸念はあります。安全面から防犯カメラを29台に増設していますが……。

 このように深夜帯や先ほど話の出たオフィス向けの無人店舗は考えていますが、すべての店舗を無人化するということは基本的には考えていません。やはりお客様とのコミュニケーションを大切にしたいと思っています。

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