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 各業界をよく知る第一線のゲストに話を聞きながら、今後、その業界がどう変わっていくかを探っていく連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。第4回シリーズ(File 4)ではコンビニエンスストア業界を取り上げている。ローソン専務執行役員の宮﨑純氏と同社前・中食商品本部商品戦略部長の荒井淳司氏(現人事本部人事管理部長)、小売・流通業界に詳しいnakaja lab代表で中小企業診断士の中井彰人氏をゲストに招き、昨今、社会問題にもなっているコンビニ業界について、本音の議論を展開している。

 今回はコンビニ本部とフランチャイズ加盟店の契約のあり方にさらに斬り込む。ロイヤルティーの仕組み、廃棄ロスの負担、見切り(値引き)販売の制限など、「コンビニの契約は加盟店に不利」という指摘が出ている。加盟店の裁量を増やすのか、本部の指示を徹底するのか――。コンビニチェーンによる違いも浮き彫りになる中、現場の疲弊を和らげる方策を探り合った。

(取材・編集=小林佳代)

安田:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、第4回シリーズは今、何かと話題の多いコンビニエンスストア業界について、ゲストの方を交えて議論を進めています。

 コンビニは本部とフランチャイズ契約を結んだ加盟店による出店が中心です。今回は、そのフランチャイズ契約について話を深掘りしたいと思います。読者の方からは、24時間営業に代表されるようなコンビニの社会問題も、契約を変えることによって、ある程度軽減できるのではないかという意見が寄せられています。

入山:商品の仕入れに関しても、加盟店は契約に縛られている部分がありますからね。加盟店オーナーは、本部からの指示も受けて仕入れをしますが、売れ残りが生じると全部加盟店側の責任になります。つまり、廃棄ロスは加盟店が負担しなくてはなりません。一方で見切り販売、つまり値引きなどは自由にはできない。そういうことも加盟店の経営の圧迫要因になっているのではないかという見方があります。

安田:加盟店が本部に支払うロイヤルティーのあり方にも厳しい意見が寄せられています。コンビニチェーンでは粗利からロイヤルティーを支払うのが一般的ですが、その粗利の計算方法が本部に都合が良すぎるという指摘です(※1)。業界の外の人間からすると、人件費など営業経費が含まれない粗利にロイヤルティーがかかること自体、少し不思議な気がします。

入山:コンビニのフランチャイズ契約、加盟店には不利じゃないですか? 中井さん、いかがでしょうか。

(編集部注※1)通常の会計では、売上高から原価を引いたものが粗利となるが、コンビニの会計は原価に商品の廃棄分を含めない仕組み。たとえば、仕入値350円、販売価格500円の弁当を10個仕入れ、8個が売れ、2個は売れ残り廃棄したとする。通常の会計では売上高が500円×8個=4000円、原価は350円×10個=3500円で粗利は4000円マイナス3500円=500円になる。しかし、コンビニ会計では原価に廃棄分を含めないので、この場合の原価は350円×8個=2800円。粗利は4000円マイナス2800円=1200円となる。粗利がかさ上げされ、加盟店から本部へのロイヤルティー支払いが膨らむ。