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中井:ドミナント戦略というのは、ある一定のエリアに集中的に店舗を配置することによって、小売店のブランドを浸透させ、消費者の方たちに親近感を持ってもらうことでチェーン店の力を伸ばしていこうとする戦略です。

 ドミナント戦略をとることによって、物流面でのメリットも得られます。同じエリアにたくさん店舗を出店すれば、効率的に配送できて物流コストを下げられますので。基本的に生活に密着した小売業は、ドミナント戦略をとることが多いですね。

入山:特定エリアの中に、例えばローソンならローソンをワーッと出店させていくということですよね。私は早稲田大学で働いているんですけれど、大学の周りにファミリーマートが目立ちます。私が仕事をしている早稲田大学の11号館の1階もファミリーマート。

 大学の外に出ても、あっちにもこっちにもファミリーマートがある。まさにドミナント戦略ですよね。今のお話でいうと、1つの理由はブランドの浸透、もう1つは配送コストの抑制と。

安田:ただ、ブランドの浸透ということでいうと、先ほど名前が挙がった3大コンビニチェーン、もう知らない人はいないですよね。今の段階でも、ブランドへの影響を考えたドミナント戦略というのは引き続き有効なんですか。

中井:特にコンビニに関しては、普通の小売店舗とちょっと違う部分があります。普通の小売業、例えば食品スーパーやドラッグストアというのは、お客様に来ていただくために店を構えて、安売りなど、お客様を呼び込むための仕掛けをします。コンビニの場合は逆で、お客様の利便性を高めるために、自分の方から近くに寄って行くという方針なんですね。

「お客に近づく」狙いで網の目のように出店

入山:お客を引っ張ってくるのがスーパーとかドラッグストア、お客に近づいていくのがコンビニの基本戦略と。

中井彰人(なかい・あきひと)
nakaja lab代表
みずほ銀行の中小企業融資担当を経て、同行産業調査部にてアナリストとして産業動向分析に従事。中小企業診断士として独立する。

中井:そうです。それで網の目のように店舗を出店していくことが、お客様に近づくために必須のやり方になっているということだと私は思っています。

入山:なるほど。宮﨑さんも同じご意見ですか。

宮﨑:何度も同じチェーンをご利用いただく「ロイヤルカスタマー」の獲得が、店舗の売り上げを左右します。各社ともポイントを付けるなど、様々な施策を展開しています。中井さんが言われたように、ドミナント戦略はこの点でも非常に効果があると思っています。

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