「あの業界、今、どうなの?」「競争環境が厳しくなるけれど、今後は大丈夫なの?」──。就活中の大学生やビジネスパーソン、経営者にとって、未知の業界の内情は大きな関心事だ。そこで、日経ビジネスが動画・ウェブ・本誌多面展開で立ち上げたのが「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」だ。

 経営学者の入山章栄氏と経済学者の安田洋祐氏が、それぞれの業界の関係者や業界をよく知るゲストを招き、都合のいい話も都合の悪い話も、ざっくばらんに議論し尽くす。読者からのコメントも積極的に取り入れ、業界を深掘りしていく。

 第4回シリーズ(File 4)で取り上げるのはコンビニエンスストア業界。便利さを徹底的に追求して急成長を遂げてきたコンビニ業界だが、今、その現場では、過酷な長時間労働や経営難で疲弊する加盟店が続出し、大きな社会問題となっている。現場の疲弊の「主犯」と目されるのは本部が推進する「ドミナント戦略」。「ドミナント戦略って本当に有効ですか?」──。入山氏と安田氏がコンビニ業界の“中の人”に迫った。

(取材・編集=小林佳代)

入山:「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」、今回は連載開始から第4回のシリーズです。

安田:もう4回になりますか。早いですね。

入山:おかげさまで読者の方からもたくさんコメントをいただき、非常に評判の良い連載になっていると聞いています。第4回シリーズで取り上げるのはどの業界かというと……。

安田:見てください。テーブルの上にいろいろ商品も並んでいます。大ヒットしている「悪魔のおにぎり」もありますね。今回はコンビニエンスストア業界を取り上げます。本日、我々は大手コンビニのローソン本社にお邪魔しています。

入山:きましたね、いよいよコンビニ業界。読者の方からも非常に関心の高い業界ですよね。ちなみに安田さん、ローソンの商品で「これが好き」っていうのはあります?

安田:いや、実はこんな企画に関わっておいて言うのもなんですが、僕、普段はコンビニの違いをあまり意識していない、ダメなタイプの消費者なんです。だから、あとで差別化の戦略なども聞いてみたいですね。

 では早速本日のゲストをご紹介します。ローソン専務執行役員の宮﨑純さん、中食商品本部で商品戦略部長を務める荒井淳司さん、そしてコンビニ業界にお詳しい小売り・流通業界アナリストのnakaja lab代表の中井彰人さんです。

入山:僕、知り合いにローソンの元社員がいるんですけれど、宮﨑さんにお会いすると伝えたら、「それはすごい」と言われました。大変な大物で、普段はメディアには出て来ないそうですよ。今回、この「業界未来図鑑」だから出ていただけるということで。

安田:本当に“中の中の人”ですから、現状から未来までいろいろお聞きしたいですね。では、お三方にご登場いただきましょう。よろしくお願いします。

中井宮﨑荒井:おはようございます。よろしくお願いします。

次ページ 全国に5万6000店舗、11兆円産業となったコンビニ業界