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 気鋭の学者2人が共同で司会進行し、動画とテキストで専門家とにぎやかな「新・業界論」を展開する連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。自動運転“業界”を取材したところ、読者から多数の質問をいただき、かつ4本の記事公開後もコメント欄にて多数のご意見をいただいた。追加取材という形で、アーサー・ディ・リトル・ジャパンの鈴木裕人・パートナーと、DeNAでオートモーティブ事業の本部長を務める中島宏・常務執行役員に取材した。

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鈴木さん、中島さんに出演いただいた動画記事に対して、読者からさらに質問や意見が寄せられました。多かった質問などを改めて質問させてください。まず、自動運転に必要なセンサー類について。遊記さんなどから「デファクトスタンダードは決まっているのか」という質問が寄せられています。鈴木さん、お願いできますか。

鈴木:我々も完全に把握できているわけではありませんが、独コンチネンタルがトヨタのセーフティセンスのカメラを生産するなど、まずドイツ勢が先行しているものを横展開しようとしました。ただ、現在はコストなどでまた競争環境が激化しており、メーカーの競争という点ではあちこち発散しているという状況です。

 未来を見据えたときに、「どのレベルの自動運転が必要なのか」というレベル感と、センサーのレベルは当然ながら関係しているので、自動運転の目指す先が決まれば技術論としては収束していくのだろうとは思います。

一時期、「高性能だが高コストのLiDAR(赤外線レーザースキャナー)は必要なのか」という議論があったと記憶しています。

鈴木:自動車メーカーはコスト観点からセンサーの数を絞りたいが、自動運転機能の充実のためには、現状ではマルチソースを確保せざるを得ないという点は間違いありません。1つがカメラだとして、他をどうするか。ミリ波レーダーなのか他の選択肢なのか。ちろん「価格が下がれば、性能の優れたLiDARが有利」という見方もあります。先ほど申し上げた「どのレベルの自動運転を目指すのか」というレベル感によって選択が変わるという状況です

なるほど。では各サプライヤーの出方次第という側面もあるということですね。

鈴木:そのように認識しています。

続いて、中島さんにお願いします。中小企業技術職人さんから自動運転時代の保険について質問が来ています。例えば自動運転関連のサービスを利用する際、ユーザーの責任はどうなるのでしょうか。また、個人所有の自動運転車の場合は、保険などは引き続き個人で加入することになるのでしょうか。

中島:自動運転関連のサービスはレベル4やレベル5の自動運転になるはずなので、基本的にユーザーの責任はないと考えています。一方、個人所有の自動運転車では保険は一定必要だと考えています。完全自動運転であれば自身の事故への責任は基本的になくなりますが、保険は事故以外の災害時や故障などを幅広くカバーしてくれるためです。ただ、自動運転が普及すれば、これまでクルマにかけていた保険はシェアリングサービスやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などのサービスに溶け込む可能性はあります。