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今回は、自動運転がどのような社会の変化をもたらすか議論します。どんな価値観の変化や生活の変化をもたらすか、ぜひコメント欄に書き込み、皆さんで自由に話し合ってください。

 各業界をよく知る第一線のゲストに話を聞きながら、今後、その業界がどう変わっていくかを探る連載「入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑」。第3回シリーズ(File 3)では、モビリティーの新たなサービスやプロジェクトに積極的にかかわるDeNAの中島宏常務執行役員オートモーティブ事業本部長と、アーサー・ディ・リトル・ジャパンのパートナーで自動車業界・自動運転業界に精通している鈴木裕人氏をゲストに招き、自動運転業界についての議論を展開中。

 3回目の議題は「自動運転が社会を変える」。自動運転やMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)の進行で新しいサービスが次々に登場する中、社会はどう変わっていくのか。ホテルはつぶれ、住宅革命が起きるのか……。 議論の中で飛び出した斬新な予想から、クルマを起点に様変わりする未来が垣間見えた。

(取材・編集=小林 佳代)

入山:引き続き、自動運転業界について、ゲストのお2人にお話をお聞きしていきます。今回は自動運転の未来を伺いたいと思います。ここまでの議論をおさらいすると、自動運転には「レベル1」~「レベル5」まであり、既に「レベル2」までは実現している。

 これから「レベル3」~「レベル5」が出てくるけれども、主にタクシーやバスなどの商用車については、ドライバーなしで勝手に走り回るという状況が2023年ぐらいまでには部分的にでも起きるだろうと。

安田:あと4年ですね。2025年には私の勤める大阪大学の地元で万博も開かれますが、その頃には結構自動運転車が浸透しているってことです。

入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学ビジネススクール教授

1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学院修了。2008年米ピッツバーグ大経営大学院で博士号取得(Ph.D.)。米ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授などを経て2019年から現職。著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社)などがある。

入山:そこでお聞きしたいのは、その後の2025年から2030年ぐらいまでの間に、自動運転によって我々の社会には何が起きるかということです。お2人には、既にホワイトボードに予想する未来を書いていただきました。実は僕も書きました。順番に説明していきましょう。

 まず僕からいっていいですか。僕が予想する未来はこれです。ジャン。(スケッチブックを見せる)

安田:えーと、入山さん。「ホテルがつぶれる」と……。

自動運転車がホテルを駆逐する?

入山:ええ。「レベル4」なんかが出てくると、間違いなくこれが起きると思ってます。ある駐車場会社の調査結果によると、駐車場にクルマを止めてドライバーがしていることのトップ5に、昼寝とか仕事が入っています。クルマって閉ざされた空間なので、自分のしたいことが自由にできる。つまり、究極のプライベート空間なんですよ。

 自分で運転しなくてはいけない今は駐車場に止める必要がありますが、完全自動運転が実現すれば、勝手に運転してくれるから、移動しながら好きなことができる。完全自動化したクルマなら、ホテル代わりにも使えます。ほら、大阪大の先生である安田さんは、住んでいる大阪から出張で全国各地に移動することも多いでしょう?

 自動運転のクルマがあれば、移動しながら宿泊もできますよ。夜の11時ぐらいにクルマに乗って後はガーッと寝ていればいい。朝起きたら、出張先に着いています。ビジネスホテルは自動運転に取って代わられる可能性があると僕は思っています。