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安田:ほかにも読者の方からのご意見、ご質問としてたくさんいただいているのがルール整備についてです。自動運転の安全性や交通の効率性を追求するならば、人間の運転を禁止した方がいいのではないかとか、人間のドライバーが運転できるレーンを制限した方がいいんじゃないかといった内容です。どう考えますか。

クルマが出た時も「馬車は使用禁止」とはならなかった

中島:私はわりと現実的な路線を考えています。かつて馬車があった時代にクルマが発明されましたが、じゃあ、「クルマの方が便利だから馬車は使用禁止」となったかといえばなっていない。しばらくの間は馬車とクルマが併存していたわけです。クルマの方が便利なので馬車は自然となくなっていきましたが。

 今の時代も、自動運転という便利なものが出てきたからといって、人間が運転するクルマをなくそうなんていう強引なことは絶対に起きないでしょう。専用レーンっていうのも、日本の道路を考えたらできるわけがない。混在環境になると思います。そして、じわじわと自動運転の比率が高まっていくというのが現実的な路線だと思います。

安田:今のお話から考えると、混在している環境できちんと自動運転ができるならば、そこで生まれた日本のサービスやシステムは世界のどこに出しても使えるということですね。難しい環境で成功したものだから輸出もしやすい。

安田洋祐(やすだ・ようすけ)
大阪大学経済学部准教授

2002年東京大学経済学部卒業。2007年米プリンストン大学で経済学博士号取得(Ph.D.)。政策研究大学院大学助教授を経て2014年4月から現職。専門はゲーム理論。共著書に『経済学で出る数学:高校数学からきちんと攻める』(日本評論社)、『日本の難題をかたづけよう』(光文社新書)、編著書に『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)などがある。

中島:そう思います。ただ、意外と交通サービスって地域特性が出るんです。たとえば、インターネットではグーグルの検索エンジンが世界を席巻しましたけど、ひとつの配車サービスだけが世界を席巻してはいない。世界各地でウーバー、グラブ、オラ、ディディなど様々な企業が活躍しています。自動運転のサービスやシステムもローカルの特性が出るはずです。

安田:今、「ローカル」というキーワードが出てきましたけど、ローカルといえば、この『フラグメント化する世界』という本の中で、鈴木さんはGAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが独占的地位を得ていた時代から転換し、これからはローカライゼーション、カスタマイゼーションが起きてくるということを指摘していますね。このフラグメント化の文脈で見ると、自動運転はどういう形になるのでしょう。

鈴木:町の構造や人口密度は本当に様々です。一口に自動運転と言っても、状況によって必要な技術も全く変わります。それぞれの町に最適な自動運転の形が出てくると思います。低速の自動運転車が走る町が出てくるかもしれないし、高速道路の専用レーンに自動運転車が走る町が出てくるかもしれない。

中島:そういう点からも、自動運転車を活用した「ロボットタクシー」のサービスは、どこかの都市で早めに磨き込みを掛けないと国際競争に勝てないと思っています。ロボットタクシーって新幹線のアナロジーに似ていると思うので。

入山:どういうことですか。