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入山:日本は他の国に比べて法整備も進んできているというお話でしたけど、これから「レベル3」や「レベル4」にも対応するような法律ができてくるんですか。

中島:そう思っています。「レベル4」の方が法整備的にはジャンプがありますけれど。

入山:ジャンプがあるというのは?

ドライバーのいないクルマ、法律はどうとらえるか

中島:これまで運転席がないクルマっていう概念が、日本の法律の中にはなかったので。

入山:そうか。「レベル4」からはドライバーがいない。つまり運転席がないわけですからね。

中島:数十年間、「ドライバーがいる」という大原則の下で法律がつくられてきましたが、その根本のところが変わっちゃう。法改正議論としては複雑な話です。

安田:今、ふっと思いついたんですけれど。経済学者の岩井克人さんが研究していることですが、法人って偉大な発明で。株式会社の場合は所有される客体としての性質を持つ一方、法人格として所有することもできる存在です。

 運転の場合も同じようにできるかもしれない。従来だったら人が運転手をやらなきゃいけないけれど、運転する主体として認め得るものを法的に整えれば、一義的にその主体が責任を負うという形にできるかもしれない。

入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学ビジネススクール教授

1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学院修了。2008年米ピッツバーグ大経営大学院で博士号取得(Ph.D.)。米ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授などを経て2019年から現職。著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社)などがある。

入山:いやー、安田さんが初めて経済学者らしいことを言ったな(笑)。

中島:おっしゃる通り、そういうアプローチで法改正をしようという方もいます。または今の法律の延長線上で解釈を変えるというアプローチでやろうという方もいる。全く別物なので新しい法律をつくりましょうという方もいます。

入山:そこはまだ分からないんですね。法改正で行くのか新法をつくるのか。

中島:国際的な議論では、今おっしゃったような運転手の概念を拡張する方向での検討が主軸だと言われていますね。たとえば、AI(人工知能)が担うとか、サービサーが担うというような形で。