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完全自動運転化は商用車から始まる

鈴木裕人(すずき・ひろと)
アーサー・ディ・リトル・ジャパンパートナー

アーサー・ディ・リトル・ジャパンにおける自動車・製造業プラクティスのリーダーとして、自動車、産業機械、エレクトロニクス、化学などの製造業企業における事業戦略/技術戦略の策定支援、経営・業務改革の支援を担当。近年は、自動車業界にとどまらず、モビリティー領域に関する事業構想支援、アライアンス支援、技術変化に備えたトランスフォーメーションなどを多く手掛ける。著書に『フラグメント化する世界-GAFAの先へ-』『モビリティー進化論-自動運転と交通サービス、変えるのは誰か-』(いずれも日経BP)。

入山:そうか。自動車を自家用車と商用車に分けて考えると、タクシーやバスなどの商用車の方が、根本的なビジネス構造を変えずに自動運転を活用しやすいんですね。

中島:おっしゃる通りです。なので自家用車の自動運転化は商用車の後だといわれています。商用車から先に完全自動運転化が始まる。「レベル4」の商用車から普及が進むとみられています。

安田:責任の所在に関して、別の読者の方からも質問をいただいています。NKさんから、「自動運転のカテゴリーで、一部車両側で運転責任を負う『レベル3』は本当に必要なのか」という内容です。「レベル4」「レベル5」ならばドライバーはいないので、ドライバーの責任なのか、技術・機械の責任なのかという問題はなくなります。「レベル3」をスキップして一気に「レベル4」「レベル5」を目指してもいいのではないかというご意見です。

中島 宏(なかじま・ひろし)
ディー・エヌ・エー常務執行役員

大学卒業後、経営コンサルティング会社へ入社。2004年12月DeNAへ入社。2009年4月より執行役員に就任。新規事業推進室室長、ヒューマンリソース本部本部長、マルチリージョンゲーム事業本部長を歴任後、2015年にオートモーティブ事業本部を設立、本部長に就任。2019年4月から常務執行役員。次世代タクシー配車アプリ「タクベル(現MOV)」、日産自動車との無人運転車両を活用した新しい交通サービス「Easy Ride」、完全自動運転バス「ロボットシャトル」、個人間カーシェア「Anyca」などを手掛ける。

 専門のお2人のご意見はどうでしょう。せっかくなので、お手元にある○×棒を出して回答していただきましょう。今後、自動運転が普及していく上で、「レベル3」をスキップしてもいいと思う場合は「○」を、いやいや、やっぱり段階を追うべきだと思う場合は「×」を出してください。

入山:ええと、これ僕も挙げるんですか。

安田:ええ、ぜひ。

入山:何も分かってないのに。

安田:はい。僕は司会進行に徹するので、挙げませんけれど。

入山:ずるいな(笑)。

安田:準備はいいですか。では一斉に……はい、どうぞ。ほう、なるほど。これは素晴らしいですね。専門家のお2人は「×」。つまり、「レベル3」をスキップすべきではないと。入山さんは「○」で、スキップしていい。

入山:今までのお話を聞いていると、本当にこの「レベル3」、難しい気がするんですよ。倫理的な部分とか、法律的な部分とか……。

安田:「レベル3」さえなければ法的な問題は発生せず、スムーズにいきそうな感じは確かにしますね。

入山:ここが一番面倒くさい。つまり自動運転に任せて、自分は本を読んでいる。けれどそのクルマが事故を起こして、たとえば歩行者をひいてしまったら、それってクルマのせいなのか、本を読んでいたドライバーのせいなのか。結構難しい問題だなと今までの話を聞いていて思ったんですよね。

 グレーゾーンが多くなりそうなのが「レベル3」。飛ばしちゃった方がいいんじゃないのと思ったんですけれど。ぜひ教えてください。「×」の理由を。