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安田:さきほどの中小企業技術職人さん、「『レベル4』『レベル5』の実現はいつ頃になるのか知りたい」とも書き込んでいますが……。

鈴木:「レベル4」については、「来年出す」と言っている自動車メーカーもあります。2023年くらいまでには出さないと、ちょっと技術力を疑われてしまうだろうという感じになっていますね。

入山:もうそんなに進んでいるんですか。2023年というとあと4年? 4年後に出さないと、「あの会社、大丈夫か」っていう話になっちゃうと……。中島さんもそんなイメージですか。

中島:これまでは自動車メーカーや自動運転キットをつくるメーカーが「いつまでにこういうレベルのものを出します」と公表することってあまりなかったんです。ところが、このごろ、「2020年には出します」という具合に正式に発信し始める企業が出てきた。トップランナーの企業は2020年代の前半には出すと言い始めています。ひっくるめて考えると、「2023年までに出さないと遅い」というのはおっしゃる通りだと思います。

入山:これに関して、「日経ビジネス電子版」には詳しい読者の方から質問がきているので紹介します。ホッチーさん、サラリーマンの方です。「カリフォルニア州が提出を義務付けているデータから見ると、正直自動車メーカーのレベルはまだまだ。本気で『レベル3』が実現できると考えているのでしょうか」というものです。鈴木さん、いかがでしょうか。

2023年までに完全自動運転車が出てくる

中島:読者の方が指摘しているのは、カリフォルニア州車両管理局が自動運転技術を開発中の企業に対して提出を求めた、走行テストの実施状況などに関するデータのことですね。その中ではテスト中、自動運転モードを解除し、人間のドライバーが運転する「ディスエンゲージメント」の頻度も記録されています。つまり、自動運転でどれだけ走行できるかを測っている。それによると、トップはグーグル系のウェイモ。続いてゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズでした。

入山:確かにホッチーさんは、「日産ですらウェイモの2%、GMクルーズの4%しか解除なしで走れない。BMWやトヨタ、ホンダ、メルセデスにいたってはその日産の1/46~1/140、鳴り物入りで参画したアップルは2kmも走れない惨たんたる状況」と指摘しています。

鈴木:ただ、これはあくまでカリフォルニアでやったテストのデータ。自動車メーカーはグローバルでテストをしているので、すべてを含めた数字にすれば、それほど差はないだろうというのが我々の認識です。

入山:つまり、カリフォルニアのデータは何かの理由で際立って悪い結果が出ていると。

鈴木:そうですね。カリフォルニア州は自動運転の実証実験をしやすい環境を整備しているので、いろいろな会社がそこで実験を行っています。特にグーグルの本社はカリフォルニアですから、そこで集中的にテストしています。

安田:ウェイモもGMクルーズもアメリカに本社がある。カリフォルニアで積極的に実証実験を行っているのはアメリカの企業が多いと。

鈴木:カリフォルニアであまり良い数字が出ていないからといって、世界のトヨタや日産が自動運転開発競争で後じんを拝しているのかというと、そういうわけではありません。自動車メーカーの間での競争があるので、競合他社に今の自社の技術レベルを知られるわけにはいかないという面もあります。

入山:隠して出していないだけで、実は相当進んでいるはずだということですね。

中島:かなり進んでいると思っています。実証実験はしやすいけれど、カリフォルニアでやったらデータを開示しなくてはならない。敵に状況を知られたくないと考える会社はカリフォルニアでは走らない。カリフォルニア州が開示したデータでは、「あまり走れていないけれど大丈夫ですか」と見えちゃうということです。

入山:ホッチーさん、実は裏ではちゃんと進んでいますということのようです。